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COLUMN

TOPATO通信平成14年度税制改正大綱
-中小企業関連の小幅改正のみ-
5115号

ATO通信

5115号

2001年12月25日

高木 康裕

平成14年度税制改正大綱
-中小企業関連の小幅改正のみ-

今年もまた相続税率の引き下げはありません。期待しては裏切られの連続です。土地税制もほとんど改正無し。事業承継に絡んで、未上場株の評価を含め、中小企業関連の小幅の改正が大半です。


1.中小法人の自社株評価の減額制度

処分もできず、評価ばかりが高額と不評だった中小企業の自社株評価。ホンの僅かの減税です(町の噂では、従来の評価額の1/3減とも1/2減とも言われていた!)。・対象法人は相続税評価額ベースで10億円未満の会社・被相続人等が5割以上の株式を所有し、相続人が継続保有し、かつ、役員として経営すること・軽減対象は発行済み株式総数の1/3以内で相続税評価額3億円以下の部分・軽減額は被相続人の持ち株評価額の10%で3千万円がMAXです。せこい事に小規模宅地等の評価減の特例との選択適用で、両方は使えません。


2.未上場株式の物納要件等の明確化

従来から理論的には可能でも、実務的にはほとんど不可能だった未上場会社の株式の物納(下記の表参照、これ、全国ベースの数字です!)。
本年10月の金庫株制度(金庫株とは株式の発行会社が、処分せずに保有し続ける場合の自己株式のことで、従来はその保有は原則禁止されていた)の施行に合わせてか、物納の要件等を明確にするようです。詳細は不明ですが、今までよりは物納もし易くなるのでしょうか?


○物納の許可件数及び金額(全国)

年度件数金額
平成9年34件38億円
平成10年36件199億円
平成11年30件50億円
平成12年23件103億円


3.自己株式の譲渡損益、課税無し!

上記2の金庫株が解禁になったとは言うものの、来年3月までは売却はできないことになっていました。さて、4月以降、売却が可能になった場合、その売却についての税務の取り扱いは不明でした。結論として、資本取引と言って課税関係は生じないことになりました。


4.同族会社の留保金課税、5%軽減!

同族会社の場合には、配当や賞与で社外に流出させず、一定額以上を内部に留保してしまうと、留保金課税と言って、本税の他に余計な課税が用意されています。資本金1億円以下の中小法人はこの税額、5%軽減で軽微ながら朗報には違いありません。更に、この留保金課税制度そのものを早期に抜本的な見直しを検討するそうで、大いに期待したいところです。


5.交際費枠、雀の涙ほどの拡大

法人の場合、資本金1千万円以下では年間400万円、1千万円超5千万円以下では年間300万円までは、その8割までが経費計上できることになっています。それが5千万円以下の法人は一律400万円に改訂です。これも町の噂ですが、この制限が撤廃され、総ての交際費が経費として認められるか?と左利きの筆者は相当に期待していたのですが、残念でした。この程度では、景気の刺激策なんかにはほど遠い感じです。


6.連結納税制度、4月導入

いよいよ来年4月から連結納税が始まります。対象は100%の親子会社で、強制ではなく任意の選択です。子会社の赤字と親会社の黒字を通算して税負担の軽減を、と思っても当初2年間は2%の上積み課税が用意されました。つまり、赤字の会社がない場合、誰もこの制度を選択などしないこと必至。連結納税により税収が減ることへの防波堤なのでしょうが、せこい、せこい!


7.検討事項

税制改正大綱の本文ではないものの、今後の改正を検討していこうとする事項に注目すべきものがあります。
一つは、登録免許税、不動産取得税、特別土地保有税、事業所税等の土地税制全般について、早期の抜本的見直しが明記されていることです。特に登録免許税については、15年度の固定資産税の評価替えにあわせ、手数料化の是非も含め、そのあり方の包括的な見直しを進める、とあります。 もう一つは相続税です。最高税率の引き下げを含む税率構造の見直しや課税ベースについての検討です。税率を下げ、もう少し広く浅く課税することで、我々税理士も仕事が多いに増え、大変結構なことだと思うのですが…

※執筆時点の法令に基づいております