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ATO通信

 
5170号 農業所得にも税務当局のメス!

平成18年7月31日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
 黒字と赤字を相殺し、差し引き後の所得に課税をする。この極めて当たり前の事が、個人の所得税では年々通じなくなってきています。株式や不動産の売却損失(一定の居住用不動産を除く)は他の所得との通算はできません。せめて高齢の方のこんな所得にまで、メスを入れて欲しくない。そんな事例の御紹介です。

1.広がる損益通算不適用の包囲網

  サラリーマンが投資用にワンルームマンションを購入しました。勿論大半は銀行からの借入れです。初年度はこの利息の他に諸経費もかかり赤字決算、これを給与と通算ができれば税金還付で節税に成功です。が、ご存じの通り現在は土地取得に係る利息相当は損失が生じても通算ができません。建物の減価償却も定額法だけで、サラリーマンのささやかな夢は無惨にもうち砕かれてしまったのです。
  それだけではありません。生活に通常必要でない資産の売却による損失、冒頭の土地・建物や株式の売却で生じた損失も他の所得との通算はできません。更に、ゴルフ会員権の売却損も現時点ではまだ通算できますが、いずれ規制の対象となるのは確実で、もはや風前の灯火です。

2.損益通算は当然の考え方

  同じ事を法人が行う場合はどうでしょう。例えば法人が投資目的のオフィスビルやマンションを売却した。福利厚生のためのリゾート施設を処分した。これらの売却により損失が生じた場合、本業の利益と通算することに、何の規制もありません。もっとも、レバレッジドリース等特殊なケースで部分的に経費化することに制限もありますが、個人に比べれば雲泥の差、相当に恵まれています。
  そもそも所得税や法人税は利益が生じた場合、その利益に対して課税をしようとするものです。利益があれば、税金を負担する能力があると考えられているためです。従って、経費が収入より過大であったり、大きな損失が生じた場合、利益と相殺するのは極めて自然で、担税力から言っても当然の考え方なのです。

3.農業所得は通算が可能!

  さて、郊外にお住まいのお客様に91才で未だ元気に農業をお続けの方がいらっしゃいます。ただ、さすがに若い方と同じようにはいきません。ご自宅用の他、ご近所から頼まれる分程度の売上高しかありません。金額にして年間20数万円。これに対し経費は莫大です。何しろ郊外とは言え都心から1時間、生産緑地の指定は受けていないため、農地ではあっても固定資産税は宅地並の課税です。その農地だけで400万円は悠に超えてしまいます。
  また、売上が上記のような状況のため、お金を払ってまで農作業に人手を頼むこともできません。やはり91才の奥様を青色事業専従者として雇用、お手伝いをお願いし給料をお支払いになっているのです。
  その結果、農業所得は大幅な赤字なのですが、実はこのお客様、他に多額の不動産所得があるのです。農業所得というのは、税法上の正式な名称ではありません。本来は事業所得なのですが、便宜上申告書の上で農業を区分しているに過ぎません。つまり、他の所得との通算が可能なのです。これが本誌4月号記載の不動産所得のように、事業的規模でないことから雑所得に認定されたら大変です。損益通算ができなくなってしまいますが、農業所得については現時点では極めて大甘で、この点のお咎めはほとんどありません。

4.税務署の想定

 上記のような状況の下、このお客様に所得税の調査がありました。税務署の想定は容易に察しがつきます。
  @ご本人、専従者である配偶者とも91才とご高齢であるため、事業の実態も専従の事実も無いことA売上が極めて少額であるにもかかわらず、大幅な赤字を計上しているのは、損益通算を狙った節税策。固定資産税は実際に農地として活用している極く一部だけしか農業の経費となるものがないこと等々が彼らの想定なのです。

5.手入れが不十分だと農地が山林に!

 金額は些少であっても、売上は伝票に顧客名や農作物の品名の記載があり、農業従事の実態を税務署にも理解をして貰えました。しかし、農地の内の一部の地目が「山林」に変更となっていたのです。これは農業委員会の調査で、農地に雑草が生えており農地としての活用が充分でないためと判明。この部分の他、栗林として地目は農地にはなっていても栗の収穫がなく、その売上の計上がないことから、栗林の固定資産税の経費計上も認められないことになってしまいました。
  勿論、固定資産税が経費として認められるためには必ずしも地目が農地である必要はありません。あくまで実態です。しかし、今回は実態をそのまま表していたわけで、反論の余地はありませんでした。結局、今回に限り何分にもご高齢であることから"指導"に留めていただきましたが、昨今の厳しい損益通算規制。農業所得が赤字のお客様、当局の格好の餌食になりませんようご注進です!

執筆者:阿藤 芳明

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