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ATO通信

 
5181号 期待薄の種類株式の相続評価

平成19年6月29日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
税金を取り立てるために作られた法律が税法で、その法律に基づき課税・徴収するのが税務署です。税金を取られる側は、少しでも税額を減らそうと節税で防戦。当たり前のことですが、課税をする側はその節税が大嫌い。今般、種類株式と言われる相続・事業承継対策にも活用の余地がある株式の相続税評価をめぐって新たな動きがありました。以前からその評価方法には大きな期待が寄せられていたのですが…。

1.株式の種類も色々です

 従来の商法に代わって会社法がすっかりお馴染みになりました。その会社法には種類株式と言う、権利の内容の異なる株式を発行することが認められています。例えば株主総会での議決権の有る株式と無い株式、配当の割合に優劣を設けた株式、会社を清算する際に、処分した財産の分配権の有る株式と無い株式等々多種多彩。これによって状況に応じた会社支配と資金調達ができる仕組みになっているのです。

2.種類株式で円満相続

 この種類株式、事業承継に当たっては、例えばこんな使い方が考えられるでしょう。創業社長に長男と長女の二人の子がいる場合です。長男には事業を承継させ、長女には収益の一部だけを与えて経営には参画させない財産分けを考えたとします。このような場合、生前に創業社長が持っている株式の一部を、議決権は無いけれど配当については優先される種類株式に変換します。そして、遺言によってこの変換した株式を長女に、議決権のある普通株式を長男に相続させれば、円満相続が可能になるという図式の出来上がりです。

3.評価方法で得はさせない種類株式

 さて、上記のようなケースで、従来は議決権の有無で相続時の株式の評価に相違はありませんでした。しかし、この種の事例が増えたためでしょうか、評価額に差を認める方法も選択的に認められるようになったのです。原則的な評価方法で、長男の普通株式が6,000株で6億円、長女が種類株式4,000株で4億円だったとします。評価に差を付けず、この通りの評価をしてもいいのですが、長女の4億円から5%相当である2,000万円を控除する方法です。となれば、誰もがこの評価法を採用して大半の株式を議決権のない株式にし、評価額を下げることを考えるでしょう。当事務所でも真っ先にこんな手法をお客様に提案しそうです。税務署もその辺はしっかりしていて、この方法を選択した場合、減額された2,000万円は長男の6億円に加算するというのです。何のことはない、税務署としては全体として損も得もしない仕組みになっているのです。

4.足して1、は税務署の常套手段

 話は変わりますが、ここでちょっと土地の評価に目を向けてみましょう。借地人のいる土地については、一つの土地を地主さんの持っている底地部分と借地人の借地権との二つに分解して考えます。市街地の場合、地域ごとに借地権割合が定められており、例えば借地権割合が7割の地域なら、底地は更地に対し残りの3割がその評価という風に考えます。つまり、種類株式と同様、両者を足して1というのがその基本的な考え方なのです。

5.無償返還の届出で土地の評価は8割だが…

 これの応用編があります。父親の土地に子が経営する会社名義の建物を建てたとします。この状態では、子の会社は建物がある以上その土地に借地権が生じます。と言うより、借地権があるからこそ他人の土地の上に建物が建てられるのです。
 この場合、税務では会社は父親に借地権に係る権利金を支払わなければなりません。親族間だからと言って支払いを免除すれば、会社は父親から権利金相当を父親から贈与された(受贈益課税)として法人税を負担しなければならないのです。通常はこれを回避するため、“土地の無償返還に関する届出書”という書類を税務署に提出します。将来借地権を無償で父親に返還することを約する書面で、これにより前述の受贈益課税はなされないからです。更に父親の相続時の土地の評価は、更地の8割に減額されます。上記4で述べた底地と借地権の関係のように、その地域の借地権割合をそのまま減額はできないものの、2割引は美味しい話です。が、うまい話はここまでで、その2割相当額は会社の株式の評価額に加算されることになるのです。つまり、ここでも足して1の世界なのです。

6.今後の種類株式の評価の行方

 話は会社法、種類株式に戻ります。相続や事業承継に深く関係する種類株式ですが、理論的には無限に近い組み合わせの様々な形態が考えられます。現行ではその総てについて、相続時の評価方法は定められてはいません。どんな種類株式でも、従来からの原則的な評価に依っているのが実状です。冒頭の議決権のない株式が唯一の例外なのです。種類株式については当初、その評価次第では様々な節税も可能かと期待が持たれたものです。
 しかし、足して1の発想から抜け出せない限り、あまり大きな期待はできないのかも知れません。

執筆者:阿藤 芳明

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