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ATO通信 5328号

修繕費か減価償却か、それが問題だ!

    (2019年9月30日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  修繕費か減価償却か、それが問題だ!  建物も人間と同じで、時の経過と共に不具合が生じてきます。屋根や壁にヒビが入り、壁材や塗装が剥がれた、雨漏りがする等々と言った症状が出てくるでしょう。そうなれば待ったなしで修繕が必要ですが、軽易なものから建て替え費用に匹敵するほど多額のものまで色々です。早目に経費にしたいものの果たして税務の取り扱いは……?
 

 
   

1.修繕しても修繕費にならない?

 賃貸建物の修繕をしても、修繕費として経費にならない、などと言うことが一体あるのでしょうか。厳密に言うと、決して費用にならない訳ではないのですが、一時に経費化できない場合があるのです。これを税務の用語で"資本的支出"と言うのですが、修繕の効果が長期にわたるため、経費化するのにも時間を掛ける必要があるのです。具体的には減価償却と言う手続きで、数年から数十年かけて費用にしていかなければならないのです。
 例えば建物の建築費が1億円かかったとします。引き渡しを受けた時にその1億円が直ぐに経費になるのでしょうか。答は勿論NOで、建物の耐用年数に応じて経費としていくのです。これは一度建物を建築すれば、鉄筋であれ木造であれ、何十年もの長期にわたって建物としての効用を果たしてくれるからです。決して建物代金を支払った時だけで、その効用が失われる訳ではないのです。
 減価償却とは、時の経過に伴って、資産が劣化する部分を税法のルールに則って計算をするものなのです。基本的には簡易な修繕で金額的にも重要でないものは支払時点での修繕費に。逆に、金額的にも多額で、その後も比較的長期にわたって機能を維持できるものが資本的支出となります。


2.修繕費と資本的支出の区分

 それでは具体的にはどんなものが修繕費で、どんなものが資本的支出になるのでしょうか。
 所得税法や法人税法と言う税法そのものに、それについての詳細な規定はありません。しかし、各税法には基本通達と言って税務職員が税務上の判断をし、執行する際のルールがあります。それらの通達は広く公表されていて、誰でもが手軽に参照する事ができるようになっています。両税法とも通達でほぼ同様の規定をしていて、その概要を抜粋、整理すると、まず資本的支出については、(1)避難階段の取り付け等(2)用途変更のための模様替えや改造、改装等。また、修繕費に含まれる費用としては、(1)建物の移えい又は解体移築をした場合。但し、解体移築の場合には、旧資材の70%以上が再使用でき、そのまま従前と同一の規模や構造の建物を再建築する場合に限る。(2)機械装置の移設(3)地盤沈下した土地の原状回復費用。(4)建物、機械等が地盤沈下により海水等の浸害を受けたために行う床上げ、地上げまたは移設の費用(5)現に利用している土地の水はけの改良等のための砂利、砕石等の敷設や補充のための費用、等々となっています。その他にも、一つの修理、改良等の費用が20万円未満の場合、その修理、改良等が概ね3年以内の期間を周期として行われることが、明らかな場合も修繕費として認められます。が、実務では個別の事情もあり、これで総ては解決できそうにありません。そこで、修繕費か資本的支出かが判然としない場合に限って、一つの基準としてその金額が60万円未満であれば、修繕費として扱ってよい事になっています。また、もう一つの基準として、7:3基準と言うものもあります。これは継続して行われることが前提ですが、両者の峻別が困難な場合、支出した金額の30%を修繕費とし、70%を資本的支出とするものです。


3.法人だけに認められている選択

 上記の考え方は、個人と法人で基本的には異なることはありません。しかし、大きくその取り扱いが異なるのは、資本的支出となった場合の取り扱いです。資本的支出となれば、減価償却と言う手続きで経費化して行く訳ですが、個人の場合、強制償却と言って減価償却することが義務付けられています。それに対し法人は減価償却をするかしないかは、その法人の任意で、また継続することも強制されていません。従って、減価償却を通じて利益調整をすることも可能なのです。


4.中小企業者の特例

 また、前記2.で修理、改良等の費用が20万円未満の場合には、修繕費として経理処理を行っていればそれが認められる旨をお話しました。それに対し、個人でも法人でも中小企業者で常時使用する従業員数が1,000人以下の場合、青色申告であることが条件ですが、更に有利な特例が用意されています。時限立法と言って平成32年3月31日(令和2年3月31日)までの期限が設けられた上で、その期限までに取得、製作等をすることを条件に、20万円ではなく30万円にまで引き上げられています。但し、その事業年度の合計額で300万円に達するまでがその限度額です。この特例を活用することにより、早期に費用化する事が可能です。税金を納める側は早期に経費にしたいので、ついつい無理をして修繕費に。そんな気持ちを見透かしたように、税務署は丹念に修繕費を検証です。
 
 
     
 

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