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ATO通信 5331号

遺言書が有効か、相続人の権利か?

    (2019年12月25日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  遺言書が有効か、相続人の権利か?  相続をめぐる争いは世に絶えないが、基本的に相続財産は相続人のものだろう。だから相続人が一人であれば、争いは起こらないはずである。しかし、相続人が一人でも亡くなった被相続人には世話になった親戚がいて、その親戚に財産を全て譲りたいと言う遺言があったらどうだろう。相続人の権利が勝るのか、それとも遺言が有効なのか、神はどちらに味方をするのだろうか?
 

 
   

1.事案の概要

 人間関係がやや複雑になるので、初めに図イをご覧頂きたい。今回の物語の主人公はS子さんだ。実はこの方が私共のお客様なので、勿論善人の役回り。S子さんはA子と仲が良く2人で亡くなった病弱なXを生前から面倒を見ていた。Xの母親は既に他界し、父親はいるのだが老人ホームで余生を送っている状況であった。高齢のためか欲もなく静かに晩年を過ごすと言う趣で、Xとも疎遠だったようだ。
fig1
 さて、そんな状況下、かねて闘病中のXが若くして亡くなった。親族図からお分かりの通り、Xは独身なので相続人は父親であるB一人である。そのため本来なら財産分けの分割協議もせずに自動的にB一人が全ての財産を相続することになるはずだった。しかし、Xは遺言を残していたのだ。


2.遺言の内容

 実はこの遺言が事態を複雑にしている。Xは前述の通り父親Bとは疎遠で、寧ろS子さんやA子と親交が深かったようだ。そんな事からXは自分の死後をS子さんに託し、全ての財産はS子さんにと言うのが遺言の内容だったのだ。その遺言と言うのも、公正証書遺言のように法的に整備されたものではなく、メモ書きと言うか簡単な手紙風のものだった。こうなると、この"遺言"が法的にどれほどの効力があるかが問題となってしまう。
 ここでBの姉Cと言う人物が突如登場する。当然の権利のように頼みもしないのに、勝手にBに代わり相続手続きを始めたのだ。Xの自宅を取り壊し、売却手続きも。Bが唯一の相続人であるとして相続の権利を主張してきた。更にお位牌までも処分して、カネの亡者と化してしまったのだ。


3.遺言書の効力

 ここでの最大の問題は遺言書だろう。先にも触れたが、もしこれが公証人を経由して適法に作成された公正証書遺言なら、遺留分の問題はあるにせよ、基本的にはS子さんが財産を取得して事は解決したはずだ。しかし、残されたのはメモと言うか手紙と言うか、少なくとも法的に整備されたものではなかったのだ。
 では、問題のない公正証書である遺言書とはどう言うものなのか、簡単に復習をしておきたい。公正証書遺言の建付けとしては、遺言者が公証役場へ出向き、又は公証人に自宅や病院まで出張してもらい、自分の意思を公証人に伝える。公証人はそれを聞き取った上で書面に残す。出来上がった書面を公証人が2人の証人の前で読み聞かせ、遺言者が了解すれば署名、捺印して完成となる。原本は公証役場で半永久的に保管されるが、いわばコピーが2部遺言者に渡される。そのため、相続人とATOの双方で1部ずつ保管し合うのがATOの実務上の取り扱いにはなっている。


4.舞台は裁判所に

 ここで事態は裁判所に舞台を移すことになる。裁判となれば、双方一歩も引かずそれぞれの主張を裁判官に訴えることになるのだ。ひとたび裁判になれば、互いに弁護士を立てて血で血を洗うことにならざるを得ない。弁護士の方には営業妨害をするようで恐縮だが、ATOでは相続に対し多少の意見の相違があっても決して弁護士を立てることをお勧めしない。片方が弁護士を立てれば相手側も弁護士を立てなければならず、事態はますます混迷度合いを増していくことになるからだ。
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とにかく粘り強く当事者同士で話し合えば、何らかの糸口が見えてくることも多いものだ。
 それはともかく現時点ではこの問題、未だ解決をしていない。ここから先は民法の問題で税務の問題ではないが、税務の話を少々。S子さんが勝った場合には、S子さんはXの一親等の血族及び配偶者でもないので、原則的な相続税額が2割増しにはなる。が、それでも個人的な希望を言えば、当方のお客様であるS子さんに是非とも勝たせたい。あとは今後の裁判の行方に注目するばかりだ。
 
 
     
 

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