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ATO通信 5333号

"青色申告の特典"の怪

    (2020年2月28日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  “青色申告の特典”の怪  "青色申告"と言う言葉をご存じの方も多いと思います。適正な帳簿の記帳に基づいて申告を行おうとする申告制度のことです。戦後の混乱のさ中、アメリカのシャウプ博士が我が国の税制の根幹をなすものとして創設したと言われています。
 そして、この制度を普及させるために数々の特典が用意されています。が、今やその前提条件自体があまりに当然で、特典を与えるエサとしては大げさな気が筆者はしています。
 

 
   

1.当時の時代背景

 先ずは当時の時代背景を知る上で、現在の所得税の最高税率から確認しておきましょう。現在の最高税率は45%となっていて、住民税の10%と合計で55%です。各個人の稼ぎを官と民とで折半する"五公五民"以上ですから、これでも十分に重税感は伝わってきます。
 しかし、シャウプ税制以前、当時は何と85%が最高税率と言う、とてつもない負担割合だったのです。筆者も税務の専門家の端くれですが、これはいかにもやり過ぎです。当然のことながら、税を納める側は過少申告をする人が多かったそうです。これでは真面目に納税していたら、手元にはいくらも残らない計算になってしまい、過少申告もむべなるかな。そこで税務当局はそのような納税者を片っ端から更正処分。かなり強硬に課税する手段に出たのです。


2.シャウプ博士の結論

 そんな中でもいわゆる"ガラス張り経営"による適正な申告をする人もいたそうで、これがシャウプ博士の目に留まりました。いわゆるシャウプ勧告を行う際、実はこの時点で彼には2つの選択肢があったそうです。一つは「税務官庁を強化して納税者を徹底調査」するべきか、はたまた「納税者の誠実な申告」を推進すべきか、の選択です。そして、最終的にはこの"ガラス張り経営"を目指そうと言うことになり、民主的納税と言うことから青色申告の導入を決意したと言うのが当時の真相のようです。


3.青色申告の要件

 では、青色申告創設の経緯が分かったところで、青色申告を行うにはどうすればよいのでしょうか。この青色申告、個人の所得税にも法人の法人税にも導入されています。ここでは以下、個人の所得税に的を絞って確認をしていきましょう。
 青色申告を始めるには、『青色申告承認申請書』と言う申請書類を所轄の税務署長あてに提出することから始まります。承認をお願いする"申請"をすることが第一歩ですが、提出さえすればほぼ自動的に承認されることになっています。そして、適正な帳簿を用意して、正しい記帳に基づく決算、申告をすることが義務付けられます。


4.青色申告の特典

 青色申告を行うと与えられる特典として、かなりの数の特例がありますが、主なものは次のとおりです。個人の所得税では(1)青色申告特別控除(2)青色事業専従者給与の必要経費算入(3)純損失の繰越控除と繰戻し還付、が挙げられるでしょう。中でも最大の特典は(2)の青色事業専従者に対する給与の支払いが経費に算入できることです。所得税の場合、原則として同じお財布で生活している家族(厳密には「生計を一にする親族」と言う)に給与を支払っても、経費としては認められません。しかし、青色事業専従者として届出を行った上で、届け出た金額の範囲内であれば、その金額が経費となるのです。青色を申請しない場合は白色申告となりますが、白色では給与の額にもおのずと限度額があり、青色には及びません。


5.不動産所得の青色申告

 所得税の場合、青色申告は基本的には不動産所得と事業所得に適用されることになります。但し、不動産所得の場合、青色申告でも家族従業員にこの手の給与を支払うことができるのは限定されています。"事業的規模"と言って、ある程度の規模以上に不動産貸付等を行っている場合だけなのです。3~4室程度の小さなアパートを営んでいるだけでは認められません。通達と言われる税法の具体的基準を定めたルールでは、5棟10室基準と言う取扱いになっています。間取りや賃料等にも依りますが、一応戸建てなら5棟、貸室なら10室以上の規模であることが事業的規模に該当することに。


6.今の時代、この前提条件は当たり前では?

 さて、ここで青色申告の大前提をもう一度考えてみましょう。帳簿を準備し適正な記帳をすることがその条件です。しかし、今の時代、帳簿もつけずに売り上げの管理をする人はいないでしょう。また、支払いの詳細も確認せず経費の支払いをすることもないでしょう。つまり、青色申告の前提など基本のキ、当たり前の事なのです。戦後75年にもなる現在、特典のためのエサなどと騒ぐ程のものではないのです。むしろ帳簿のない申告には"罰則"でも適用して厳罰に処してもいいのではないでしょうか。適正な帳簿に基づく申告は国民の当然の義務だと考えますが如何でしょう?
 
 
     
 

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