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ATO通信  

成年後見を使わずに財産管理

5358号
 
    (2022年3月31日更新)   執筆者:高木 康裕

  成年後見を使わずに財産管理  認知症になったからといって、日々の生活ができないということではありません。今も昔も家族の協力のもと、できるだけ同じように過ごすことでしょう。ところが最近は、本人の意思確認が取れないと、法律的には色々と厄介事が増えます。一番うるさいのが、ズバリ銀行です。成年後見を付けないと預金の引き出しには応じないなどと言ってきます。でも、預金のためだけに成年後見を本当に利用するのですか?  

 
   

1.成年後見は全財産が対象です

 認知症が進行して判断能力が低下したことを銀行が知れば、預金の引き出しはできなくなります。そして、成年後見(法定後見)の利用を薦めてきます。別にこのこと自体は正しいのですが、成年後見は一旦スタートしたら途中で止められませんのでご注意ください。
 成年後見の趣旨は、本人を保護・支援するため、つまりは守るためのものです。財産管理のための制度と思いがちですが、それは本人を守るための一環として行っているのです。したがって、全財産は裁判所の監視下に置かれ、一切の融通が利かなくなってしまいます。本人の財産を守るための制度なのですから、言わずもがなです。でもこれって視点を変えると、本人保護の名目のもと全財産が凍結されることとあまり変わらないのでは。


2.自分では管理ができない

 成年後見を開始するということは、判断できない人なので守ってくださいと宣言するようなものです。当然、新たな資産運用はできず、土地の有効活用だってできなくなります。本人の財産が減少する行為である生前贈与を行うことなど、もってのほかです。相続対策は何もできなくなってしまうというデメリットがあります。
 しかも、通常は裁判所が選任した第三者が成年後見人となり財産管理を行うことになります。したがって、財産は家族の元から完全に離れて、コントロール外になります。


3.預金を引き出したいがために

 成年後見の申し立て動機のトップは何だと思いますか?普通に考えれば、不動産の売却や相続手続きなど法律行為に支障が出たから、または、身上保護や介護契約のために申し立てをしたのだろうと思うことでしょう。ところが違うのです。裁判所の統計値をみると、なんと預貯金等の管理・解約のためがダントツ一番なのです。
 世の中どれだけ銀行がうるさくて、仕方なく成年後見制度を使わざるを得なかったのかという結果です。


4.成年後見でなくても

 何もできなくなるので成年後見は使いたくない。しかし、預金の引き出しに支障がでるのは避けたい。そのようなことであれば、まずは次のような手法を考えてみるのはどうでしょう。
  (1)財産管理契約
     令和3年2月、全国銀行協会は預金の引き出しに関して新たな指針を出しています。そこには、親族等であれば生活費等を引き出せるケースも書かれているのですが、実際にはいろいろとハードルが高そうです。そこで代わりに、財産管理契約を活用することを考えます。いままでは、たとえこの契約があったとしても、銀行によっては預金の引き出しに応じてくれないことが多かったのですが、この指針では取引が可能であると記載されたのです。ただし、任意後見契約とセットでないとダメと言われる可能性はありそうです。
  (2)代理人指名手続
     銀行で、あらかじめ代理人を指名する手続きを行います。そうすれば、本人の判断能力が低下した後もその代理人が出金できるようになります。なお、できることはあくまで出金だけです。
  (3)予約型代理人サービス
     三菱UFJグループで提供しているサービスですが、これを利用すると預金の入出金や投資信託の解約など様々なことを代理人ができるようになります。本人が元気なうちに代理人を指定する必要があるのは上記(2)と同じですが、日常必要なことはほとんど何でもできてしまいます。この制度を使えば、もはや成年後見を利用する価値は無くなってしまうかもしれません!


5.財産管理であれば信託を使おう

 預金の管理であれば、前述4の方法を用いて何とか乗り切ってしまいましょう。しかしながら、不動産の管理や売却もできるようにしたい!などの要望については、これでは役者不足です。
 そのようなときは、以前からおススメしていますが民事信託を利用するのがベストです。民事信託は成年後見とは異なり、全財産を対象にした0か100かという制度ではありません。そこが大きな特徴であり、だからこそメリットがあります。家族で相談して、必要な財産だけを選択して管理させることができるのです。財産管理のためにできた法制度であるからこその使い勝手です。認知症が進んでしまったら選択肢は成年後見一択です。そうなる前に対策できたかどうか、運命の分かれ目です。
 
 
     
 

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