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宗教法人への寄附、税の優遇は?

5364号
 
    (2022年9月30日更新)   執筆者:高木 康裕

  宗教法人への寄附、税の優遇は?  国や地方公共団体だけではなく、公益法人等へ寄附を行った場合にも税制上は優遇措置があります。公益というと公益社団法人・公益財団法人、学校法人やNPO法人、宗教法人などが思いつくことでしょう。これらの法人は、大きなくくりとしては公益法人等という同じ枠組みの中にあります。それでは、宗教法人へ寄附をしたときに税制上の優遇は何かあるのでしょうか。  

 
   

1. 所得税の優遇は?

 公益法人である宗教法人へ寄附をすると所得税はお得になるでしょうか。まずは難しく考えず、感覚で捉えてみましょう。いままでの経験と常識で考えてみれば、一般的に神社や寺に金銭の寄附をしたからといって所得税が軽減されるようなことは無かったはずです。それに、宗教法人への寄附が対象になるのであれば、それこそ本人の思いだけで、様々な団体への寄附が税の優遇対象になってしまうことでしょう。したがって、所得税の寄附金控除の対象からは宗教法人は除かれているのです。お世話になったので神社や寺に大きな寄附をしたいのだけれど、税金上は何か特典がありますか?と聞かれることが時々ありますが、残念ながら何も無いのです。
 ちなみに、宗教法人への寄附が全て対象外ということではありません。財務大臣が指定する寄附金であれば、それは特別に対象になります。この指定、国宝や重要文化財を修理・保護するための寄附が一般的ですが、大きな災害が起きたときは本堂などの建物修理についても指定されることがあります。たとえば、東日本大震災のときは、被災した宗教法人の建物等の復旧費用に対する寄附金が指定対象になったこともあります。このような災害時はアンテナを張っておくのも良いでしょう。


2.相続税の優遇は?

 次に相続税を考えてみましょう。
 所得税や法人税では、「科学または教育の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等のため」という目的で、寄附金控除があるのです。そのような趣旨からすれば、相続税についても同じような制度を設ける必要があるでしょう。
 そこで、相続した財産を申告期限までに公益法人等へ寄附をしたときは、その財産には相続税を課税しない、つまりは非課税扱いとなっています。具体的には、相続税の課税対象そのものから寄附財産が除かれることになるのです。
 なお、注意点は申告期限までに寄附をする必要があることです。申告期限を過ぎてしまうと適用外になってしまいますので、気持ちがあるのであれば、早めに対応しましょう。それでは、対象になる寄附先はどこなのでしょう。
 先ほど述べた通り、趣旨としては所得税と同じ意味合いです。そういうことですから、対象となる寄附先は所得税の優遇対象と同じ、と考えてもらって実務的にはOKです。したがって、こちらも残念ながら宗教法人は含まれません。考えてみれば当たり前ですが、もし宗教法人が対象になっているとすれば、相続人が被相続人のお金を懇意の団体へ寄附したらそれは非課税、というようなことになってしまいます。宗教法人は、市民全体との関わり合い(公共性)というよりは、檀家などの特定の方とのつながりが強い法人と考えているのでしょう。
 なお、所得税と同様に考えれば良いということは、地方公共団体への寄附であるふるさと納税も対象になるということ。つまり、あくまで相続財産の範囲内ですが、ふるさと納税をするとその金銭は相続税の対象外になるのです。


3.不動産を寄附した場合

 譲渡所得の対象になるもの、たとえば不動産や株式そのものを公益法人等へ寄附することもあります。寄附のため無対価なのですが、税金のルール上は時価で売却したとみなして、譲渡所得税を課税することになっています。ただし、国や地方公共団体への寄附と、公益法人等への一定の寄附であれば、譲渡所得税を課税しなくてもよいという制度があります。
 それでは、この制度の対象になる寄附先はどこでしょうか。所得税や相続税と同じなのでしょうか?正解は、この制度に限っては宗教法人もその対象に含まれているのです。公益目的のための財産提供、その行為に関してまで譲渡所得税を課税することはしない、といったところでしょうか。先ほどの所得税や相続税の範囲より少し広く考えているのでしょう。そのため、この制度では一般社団法人・一般財団法人であっても、非営利性が徹底された法人であるならば対象になってきます。
 この制度を利用するには、要件を満たしているかどうかについて国税庁長官の承認を得なくてはなりません。寄附を受ける公益法人側にも要件チェックがあり、協力してもらう必要があるため実務的には結構面倒です。


4.どうせなら生前対応

 相続人が宗教法人へ寄附をしても、相続税は面倒を見てくれません。相続税を減らしたいのであれば、生前に寄附を行って財産を減らしておくか、または遺言書で金銭を直接遺贈すればよいのです。備えあれば憂いなし、生前の対応次第です。
 
 
     
 

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