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5195号 税務署には分からない、美術品の評価!

平成20年8月29日 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
 相続税を計算する場合、先ずは財産や債務の評価をすることから作業は始まります。土地ならばご存じの“路線価”が基本でしょう。では相続財産に美術品があったらどうするのでしょう。“何でも鑑定団”にでもご相談ですか?そもそも税務署はどんな対応をしてくるのか、実際の相続税調査での対応をご紹介です。

1. 事案の概要

 被相続人は大変な資産家であると同時に、様々なご趣味をお持ちだったようです。その一つに絵画のコレクションがあったようです。と、他人事のように申し上げるのは、申告の時点では絵画の存在は明らかではなかったからです。相続人の方々にもその認識が無く、従って絵画については全く申告をしていなかったのです。そこへ相続税の税務調査です。調査の過程で一片のメモが発見されました。某デパートの“絵画購入メモ”には十数点の作品の題名と購入金額と思しき金額の記載が。総額にして何と1億数千万円です。こうなると、税務署は鬼の首でも取ったように相続人への追求が始まります。ただ、相続人に財産隠しの意識はなく、『そう言えば数点の絵が何処かにありましたね』と言う程度です

2. 評価の原則は『時価』!

 さて、こんな場合、まずはその絵画の評価と言うことになりますが、実はこれが問題です。絵画の価値を知る方法の一つに『美術年鑑』と言うものがあります。税務署の主張はとりあえずこの美術年鑑、但し“参考価格”ですとのお申し出。実務的には当方で鑑定なり、それなりの権威のある方の意見書なりを添付しろとのご指示です。本来、こう言うケースでは、税務署が新たな財産を発見したのですから、この金額で課税するぞ、と言うのが筋なのですが。当初より税務署は評価額で争わないからこちらで価格の算定をせよとのご指示だったので、仕方なくそれに従いました。

3. 夢膨らむ税務署と『美術年鑑』との乖離

 何しろ購入価格が1億数千万円、例の美術年鑑ではそれを更に上回る価格です。税務署にとっては待望の“増差”と言う手柄に夢は大きく大きく膨らんだのでしょう。調査の論点は他にもあったのですが、この期に及んではもうこの絵画に一点集中。彼らの立場で考えればそれも無理はありません。が、しかしです。美術年鑑の価格とは保存状態が完璧で、デパートや画廊が顧客に売却する場合の参考価格なのです。所詮、所有しているだけでそれだけの財産価値が保証されるものではありません。

4.税務署にも予算が…

 ここで重要なことは、何故こちら側に価格の算定を要請したか、です。専門家へ鑑定を依頼する場合、当然ながらそれなりの費用が必要です。しかし、そんな費用に対する予算が税務署には全くないのです。前述の美術年鑑による価格で課税でもしたら、とても訴訟に耐えられる案件にはなりません。税務署だってそれは先刻ご承知なのです。だからこそ多少譲っても、こちら側に鑑定を要請してきたのです。
 事は美術品に限ったことではありません。よくあるのは、不動産の評価を路線価によらず、鑑定評価をとって申告した場合です。その鑑定価格が妥当なものであれば格別、そうでない場合には否認する根拠がなければなりません。双方の話し合いがつかず、価格を巡る争いにでもなれば税務署も鑑定評価をすることになりますが、予算には限りがあります。総ての事案に鑑定を取ることなどできるはずもありません。

5.難しい美術品の鑑定

 さて、気になる鑑定価格ですが、結局のところ購入価格の1/20程度の価格水準で落ち着きました。若干ではありますが、傷やカビが散見されたことも影響したようです。もしかして、詐欺とは言わないまでも、法外な価格でデパートに売りつけられたのかも知れませんが。夢を抱かせてしまった税務署には申し訳ない結果となりましたが、美術品の実際の価値は、どうやら購入価格とはかなりの乖離があるものと覚悟しておいた方がよさそうです。美術品と言えば、かつて相続直前に純金に近い仏具を購入したお客様がいらっしゃいました。仏具は相続税法上の非課税財産だからです。結論を言えば、この手のものは非課税にはなりません。仏具という用途より、金その物の価値に着目されるからです。

6.敵ながら天晴れな税務調査!

 蛇足ですが、今回の調査を振り返ると、一片のメモの発見がその端緒となったのです。メモさえ見つからなければ、税務署に絵画の存在もその価値も分からなかったであろうと思うと、ちょっと悔しい気もします。調査では、くれぐれも昔のメモや手帳に要注意、と言うのが大切な教訓でしょうか。敵ながら天晴れ!もっとも、別の調査事案では居間に何気なく掛かっていた数百万円の絵画には、何のお咎めもありませんでした。堂々と申告をしていなかったにもかかわらず、です。

執筆者:阿藤 芳明

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