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ATO通信 5231号

消費税増税への道程

    (2011年8月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  消費税増税への道程  今年の税制改正は前代未聞の状況で、この原稿の執筆日である6月1日現在、全くその動向が定まっておりません。しかし、そんな中で消費税の増税傾向だけは、ほぼ確実なものと言えるでしょう。税率アップもさることながら、以前から指摘されている"益税"問題が着々と解消される方向にあるからです。仮に今年の税制改正が実施されなくても、時間の問題で確実に改正の方向です。
 

 
   

1.益税問題その1- 開業後2年間の免税

 個人、及び資本金が1,000万円未満の新設法人の場合、設立後2事業年度(個人は開業年を含め2年)は、原則として消費税の納税義務が課されていません。これは消費税が2事業年度前の期間を基準期間として、納税義務の有無の判定をしているためです。設立当初の場合、2事業年度(2年)前には事業年度そのものが存在しません。ただ、これを悪用して2年毎に会社を潰しては設立、を繰り返せば、永遠に消費税の課税を逃れる事ができてしまいます。つまり、2年間は客先からは消費税と称して相応分を預かっても、納税義務は無く、懐に入ったまま益税となってしまうのです。

2.前年度の上半期実績で対応!

 これを防ぐため、本年度の改正予定項目に、前年度の上半期6ケ月間(個人は 前年の1~6月)における一定の金額が1,000万円超なら消費税の納税義務を課す、と言うものがあります。
 ここで一定の金額とは、客先から預かった売上げの内、消費税の課税対象となるものを言い、課税売上と呼ばれています。また、この課税売上に代えて、同期間の給与の支払額で判定してもいい事になっています。この給与の支払額は従業員ばかりでなく、役員報酬も含みます。つまり、ある程度の売上げが見込まれ、かつ、給与を支払うだけの余裕がある場合、2年間の益税期間は許さないと言うもの。ただ、これでも設立年度が7ヶ月以下なら、初年度は防ぎようがないのですが…

3.益税問題その2- 課税売上割合95%の控除

 これも税制改正で予定されているのですが、いずれ大きな問題に発展する益税の問題です。
 消費税は平たく言えば、客先から預かった金額から、自らが負担した金額を控除した差額を納める仕組みとなっています。従って、預かった金額の方が多ければ納税、自らが負担した金額の方が多ければ還付、となって課税関係は終了します。
 ただ、自らが負担した消費税を無条件で全額控除できる訳ではないのです。簡易課税と言って、控除する方の消費税について、細かな計算をせず概算で済ませる方法もあります。が、ここでの議論はあくまで原則的な扱い、つまり、預かった消費税から負担した消費税を控除する場合の控除額の算出方法についでです。控除できる消費税は、あくまで前述の課税売上に対応する部分だけです。
 と言う事は、実務ではこれが結構面倒なのですが、仕入れ税額を①課税売上にのみ対応するもの②非課税売上にのみ対応するもの③両者に共通するもの、の3つに区分することがその前提になっています。更に、③は一定の方法で①と②に按分し、①に対応する部分と①との合計額が控除の対象となり得るものなのです。但し、現行法では、課税売上の全体の売上げに占める割合(課税売上割合と言う)が95%以上の場合、何と負担した消費税の全額が控除できてしまうのです。実は、これが大変な額の益税の要因となっているのです。例えば、課税売上割合が96%である場合、本来4%部分に対応する消費税は課税売上に対応していないため、控除できないのが理屈なのです。従って、本来控除できない消費税までを控除した上で納税する事は、納税額が不当に減少している事になっている訳です。この制度を課税売上5億円以上の場合は廃止しようと言うのが改正案です。

4.いずれ、95%ルールは全面廃止に!

 理屈に合わないことを、何故当局は認めているのでしょうか。それは一にも二にも、計算の簡便化のため。それでは、何故計算の簡便化が必要だったかと言えば、消費税の導入当初の事務量の負担増大をかわす狙いがあったためです。しかし、当局は巧みに漸次課税強化に移行しつつあるのです。当初の導入後、納税義務の免除額の引き下げ、簡易課税適用の課税売上高の引き下げ、課税売上割合の変動に伴う調整計算、そして上記3の全額控除の課税売上高の制限等々、益税排除の方向性は一貫しています。と言うより、問題点を初めから認識しているのです。平成元年に3%でスタートした消費税ですが、導入後20年以上を経過。今や国民生活に定着した感のある税目です。

5.いつまでも5%のままではない!

 益税問題の存在を分かっていながらも、ここまで来た消費税です。税率のアップは必至でしょうが、税率がアップすればする程、益税の効果は大きくなるのです。上記改正案が今年実現しなくても、いずれ遠からず、必ず実施されます。法人税の減税を補うものとして、消費税の増税が最右翼と言っても決して過言ではない事を、税理士として、筆者は確信しています。
 
 
     
 

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