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ATO通信 5273号

利用価値のない結婚・子育て資金贈与の非課税制度

    (2015年2月27日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  利用価値のない結婚・子育て資金贈与の非課税制度  今年の税制改正、法人税の税率軽減の他には、大きな目玉はありませんでした。もっとも、世間では非課税の贈与の特例が注目されています。結婚・子育て資金として1,000万円までが贈与税なしと言うものです。ただ、これも平成25年4月から始まった教育資金贈与の非課税制度と同じで、特別な手続きをしなくても、もともと大半のものが非課税。ただ、教育資金より更に使い勝手は悪くなっており、誰が何のために使うのか…。

 

 
   

1.制度の概要

 先ずはこの制度の概要から。贈与を受ける人(受贈者と言う)が20歳以上50歳未満で結婚や子育て資金に充てるため、父母又は祖父母等から資金等の提供を受けた場合、1,000万円までは贈与税を非課税とするものです。面倒なのは、これも教育資金の場合と同様、その使途を明らかにする領収証等をその都度、金融機関に提出することです。 
 そして、受贈者が50歳に達するか死亡した時、又は贈与のために預けた金額が0になり、終了の合意があった時に終了となります。但し、受贈者の死亡により終了した場合を除き、終了時点で残額があれば、それには贈与税が課税です。
 ここで結婚資金とは、披露宴を含む婚礼に際して支出する費用で住居や引っ越しに要するものまでが含まれます。また、子育て資金とは、妊娠・出産に要する費用、子の医療費や保育料の内一定のものとされています。

2.税法を知らない人の感想と行動

 税法を全くご存じない方にとっては、教育資金が1,500万円、この結婚・子育て資金が1,000万円も贈与税が非課税とは、かなりの朗報。金融機関への手続きはちょっと面倒かも知れないが、併せて2,500万円も相続財産から減額されるなら、是非ともやってみよう。と思われるかも知れません。事実、教育資金贈与の非課税制度が始まって以来、相当数の手続きが信託銀行等を通じてなされたそうです。高齢者はお金をお持ちの方も多く、それを贈与と言う手段で使えば、経済が活性化するため、それを目論んでの政策だったのです。その意味で、日本の国家的には良かったのかも知れません。

3.税法の規定

 次は、税法を業務としている税理士の感想です。どうしてこんな制度が国民に喜ばれるのでしょうか。結論から言うと不思議でたまりません。何故なら、わざわざこのような手続きをして、その都度金融機関へ書類を届けなくても、もともとこれらの項目は非課税なのです。贈与税は相続税法と言う法律に、非課税になるものを限定して列挙しています。その中に"扶養義務者から生活費又は教育費として贈与を受けた財産のうち通常必要と認められるもの"とあります。所得税でも扶養義務を履行するための金品は非課税とされているのです。ここで扶養義務者とは、所得税の扶養控除の条件とは全く関係なく、所得制限はありません。実務的には配偶者、親子のような直接の血縁関係者、兄弟姉妹、3親等内の親族で同じお財布で生活している者とされています。つまり、通常の家族関係なら、これらのものは元来何の手続きをしなくても非課税なのです。
 そして、もう一つ"社交上必要と認められる香典等"の非課税。これは常識の範囲内での香典、贈答、ご祝儀等を言います。国民感情を考慮しての規定ですが、当然と言えば当然の規定。筆者がまだ若く、就職1年目で結婚した時のこと。自慢にもなりませんが、貯金もなく給料も低いのに、結構派手にホテルで挙式、全額親の負担、ご祝儀です。当時は税務職員でしたが、特段の課税もなく…。立場は変わり、娘の出産に際しては、全額当方の負担。常識の範囲内なら、もともと非課税なのです。

4.結婚・子育て資金贈与の最大の欠点

 それではこれらの非課税規定、何のメリットもないのでしょうか。あるとすれば教育資金贈与の方でしょう。生前に一括で1,500万円を贈与し、直後に死亡した時です。まだ100万円しか使っておらず、残額は1,400万円あったとしても、これには贈与税も相続税も掛りません。従って、亡くなりそうになったら、慌てて1,500万円の贈与をしても、直前3年内の贈与が相続財産へ加算される規定も適用されません。これに対し結婚・子育ての方は、贈与の残額がある場合、相続で取得したものとみなされて、相続税が課税されます。

5.亡くなりそうなら教育資金贈与、健在なら…

 結論としては、これら両方の特例は、今にも亡くなりそうなら慌てて1,500万円の教育資金贈与。健在なら特例を使わない贈与がお勧めです。但し、その資金が本当にその目的に使われたことを示す証拠は必要です。祖父の預金から孫の入学資金と同額を引き出すとか、学業に係る費用の領収証を祖父が保存しておくとか、その程度の工夫は必要です。相続税の調査では、必ず生前の資金の動きは預金通帳でチェックされるのです。大きな金額の入出金の動きだけは、生前から分かるようにしておく事をお勧めします。
 
 
     
 

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