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ATO通信 5281号

結果的に税額が算出されなければお咎めなし!

    (2015年10月30日更新)   執筆者:阿藤 芳明

   結果的に税額が算出されなければお咎めなし!  法人税でも所得税でも、そして勿論相続税でも申告期限は決められています。その期限までに申告書の提出がない場合、税務署から指摘されれば無申告加算税なる最低でも算出税額の15%のペナルティーが。さらに実際に納税した時までの日割り計算で、利息に相当する延滞税の対象にもなってしまいます。但し、です。結果的に例えば特例の適用をする等の工夫をして、税額が算出されなければどうなるのでしょう。加算税も延滞税も、もともとの本税の税額がゼロなので、その対象にならずお咎めなし。申告期限ギリギリでご相談にいらしたお客様にこんな工夫をしたのです。

 

 
   

1.事案の概要

 相続税の申告案件です。相続税においては時折りこんなケースがあるのですが、税務についての相談相手がいないのです。ご商売をやっていらっしゃれば、大抵は税理士が付いているもの。その税理士に相談するのが普通でしょう。しかし、このお客様はサラリーマンで、しかも、にわか勉強で自宅や事業所の敷地の評価は8割引きになる事を知っていたのです。相続財産に金融資産はなく、ほぼ自宅と同居の息子がやっている事業所の土地だけのため、結果的に相続税は掛らない、と高を括っていたのでしょう。
 しかし、相続税の申告期限が近付いて、流石に心配になったようです。年明け早々に私共の事務所に相談にお見えになったのです。聞けば、申告期限は3月12日。確定申告の真っ最中です。いくらATOが相続税の申告業務に慣れているとは言え、いくらなんでも税理士事務所の最繁忙期にそんな事はやっていられません。そこで一計を案じて、この急場を凌いだと言うのが今回のお話なのです。では、どんな工夫をしたのでしょうか?


2.とにかく税額が算出されなければ

 失礼ながら、実はこの手のお客様が一番タチが悪いのです。税法を一応は知っている積りだからです。確かに一定の要件を満たしていれば、当時はご自宅の敷地は240平方メートルまで、事業用敷地は400平方メートルまでは8割引きになります。しかし、これは相続税の申告書を提出することが条件なのです。従って、何もしなければこの適用は受けられません。
 そうは言っても、期限後に提出しても結果的にはその時点で適用になります。そこで、ここは腹をくくって申告期限は敢えて無視することにしたのです。ただ、税務署からは相続税の申告書も既に送付されているとのこと。黙って無視をすれば必ずや問い合わせがあり、税務調査にまで発展しかねません。そのため、次の状況を説明した上申書を税務署に提出し、理解を求めたのです。期限を過ぎてはしまうが、状況が整い次第速やかに税額0の申告書の提出を約束する事を。



3.相続人として利益が相反する場合

 実はこの事案、ちょっと厄介な事があったのです。相続人は配偶者である妻の他、長男と長女の計3人。ただ、長女は難病で何年も寝たきりの状態。意識もなく、税務上は特別障害者と言う扱いなのです。そして、分割協議をするに当たり、長女の意思確認が難しいことから、長男は自らが長女の成年後見人となる手続きをしていたのです。 
 ただ、そうすると長男は自身の相続人の立場と長女の後見人としての立場が相反するものになってしまいます。つまり、相続人として利益が相反するため、分割協議で後見人となり得ないのです。
 こう言う場合、長男以外の特別代理人を選任するか、後見人を監督する後見監督人を選ぶ必要があるのです。



4.上申書に記載したある事情とは

 ここで話は上申書に戻ります。税額が算出されないことが大前提であると申しました。そのためには、例えば配偶者である妻が全財産を相続すればよいのです。配偶者の場合、税額軽減策と言って、法定相続分か1億6,000万円までの金額の相続であれば、相続税は課税されないからです。
 問題は長男と長女。長男は上記のような状況下、いずれ総ての財産を相続する立場です。従って今回は何の財産を相続しなくても構いません。長女の方は特別障害者のため、その年齢から420万円が税額から控除されるのです。つまり、この税額に相当する財産2,000万円を相続しても、実際には納税額が算出されないのです。ただ、相続財産は自宅と事業所の敷地だけ、現預金はありません。
 そこで、母からの代償分割(相続財産は何も取得しない代わりに、母からその代償として金銭等を貰うこと)で預金を2,000万円受け取ることにしたのです。母の方は金融資産も若干あり、これが減れば、母自身の二次相続の対策にも役に立つことになります。それに何より、長女の特別代理人の選任を申請するに当たり、長女は2,000万円を代償分割で取得するとなれば、家庭裁判所にも納得してもらえる財産の分割案になる訳です。
 以上で母は配偶者の税額軽減で、長女は障害者控除で、両人とも相応の財産を相続するにも拘らず税額なし。晴れて無申告を貫き、確定申告後の暇な時期の申告で、事なきを得たのでした。
 
 
     
 

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