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ATO通信 5285号

税務署にも難しい"お庭"の評価

    (2016年2月29日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  税務署にも難しい“お庭”の評価  相続や贈与をする場合、財産の評価は死亡時や贈与時の"時価"で行うことになっています。土地や建物は、通常は路線価や固定資産税評価額で行うため、分かりやすいことが多いでしょう。難しいのはそれなりの"お庭"です。問題は"それなり"の程度。理屈と税務署の考え方と、実際の実務のせめぎ合いを考えてみました。


 

 
   

1.ある会社役員のご自宅の庭

 ズバリ、具体例から。某会社役員の世田谷区にある80坪のご自宅の評価です。相続税の税務調査で指摘を受けたのが庭の『造園工事』をめぐる評価です。亡くなる1年半前に隣地から越され、ご自宅を新築なさったのです。その際に旧宅にあった庭木や庭石を一部移設され、新たな庭を設けたことが問題にされたのです。
 相続税の調査では、普通預金の通帳の動きから、100万円単位の入出金はその経緯を質問されます。そこで注目されたのが、金額として450万円ほどの"造園設備工事"。ご自宅の敷地は路線価で、そして建物は固定資産税評価額を基に適正に申告をしています。しかし、この450万円は"庭"として特段の申告をしていませんでした。税務署はそれが気にくわないご様子。亡くなる僅か1年半前に450万円もかけたのだから、それなりに財産価値があるはずだと言うご主張なのです。


2.『庭園設備』の評価の考え方

 税務署には財産の評価に当たり、"財産評価基本通達"と言うルールブックがあり、税務職員はこれに基づいて評価の作業を行っています。公表もされているため、我々税理士も通常はこれに従って作業を行います。このルールブックには、次のように記されています。『庭園設備(庭木、庭石、あずまや、庭池等を言う)の価額はその庭園設備の調達価額(中略)の100分の70に相当する価額によって評価する』。つまり、この設備を作る場合の価額の7割相当で評価すると言う趣旨なのです。ここでは、はっきりと450万円掛ったことが分かっているので、これの7割の評価額を庭園設備として計上しろと言うのです。


3.相続直前の多額の支出は…

 結論から言います。もし、この造園工事が亡くなる10年前に行われていたら、税務署はこのような事を絶対に言いません。何故なら、例え某会社役員のご自宅でも、世田谷に80坪の敷地です。一般のサラリーマンのレベルで考えれば確かに立派ではありますが、決して"豪邸"と言う程のものではありません。この手の庭を敢えて評価することは実務的にはあり得ないのです。庭石に価値があると言っても、購入時に限ったこと。売却を考えても運搬の費用の方が上回るのが実態なのです。従って、実務では普通の庭は評価など、ほとんど行わないのです。今回のように、相続直前だと文句を言いたくなるのが税務署の常。徹底抗戦でこちらも譲らず、結果オーライでした。


4.地方都市の武家屋敷の庭園は…

 具体名は伏せますが、地方都市にある某武家屋敷をご自宅になさっていた方の相続です。地方都市とは言え敷地面積は2,500平方メートル、聞けば室町時代からのものとか。庭も流石に立派で庭園だけで550平方メートル。池あり築山あり禅僧が修行のために座る特別な石まである代物です。さて、これをどう評価するのか、税理士の腕前をお見せできる千載一遇のチャンス?とんでもない!こんな庭園を評価したことは、長い税理士人生でも初めての経験。では、税務署に聞いたらなんと答えるのか。先程の通達どおり調達価額の100分の70に相当する価額、としか答えようがありません。では、具体的な金額はどのように算出するのでしょう?庭石がいくら、銘木は1本いくら、池を造成するのに幾らの計算をするのでしょうか。何しろ広さが広さです。莫大な金額になってしまうでしょうし、何よりそんな金額で売買ができるのか、と言うことが問題なのです。


5.悩みに悩んでATOが出した答えは

 こんな時は税理士も困りますが税務署だって状況は同じです。理屈は前述のとおり"再調達価額の70%相当額"ですが、実際に売買もできない金額で評価してよい筈はありません。例えばダイヤの指輪を100万円で購入します。翌日業者に売ったらいくらで買い取ってくれるのでしょうか。決して同じ金額ではない筈です。商品として売却した後は、翌日であってももはや中古品。購入時には原価の他に運搬料、広告宣伝費、保管料、支払利息、人件費、販売手数料、そして何よりその業者の利益が加算されているのです。その金額だけの価値がある訳では決してないのです。
 また、相続人にとっては今後の維持管理が何より頭痛の種とか。1円の利益も生まない大庭園。さりとて維持管理するだけでも年間相当額が掛るとか。固定資産税は課税されていないため、評価額不明な立派な茶室まである庭園。苦肉の策として、この茶室の建築費から割り出した適正額にプラスαをし、"茶室及び庭園一式"として申告。これなら税務署も文句はないでしょう。
 
 
     
 

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