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ATO通信 5300号

商売はニッパチ、税務署はヨンロク!

    (2017年5月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  商売はニッパチ、税務署はヨンロク!  世間ではニッパチと言われているが、商売は2月と8月は売上減少で暇な時期である。同様に税務署にも暇な時期があり、それがヨンロク、つまり4月から6月までというのが表題の意味である。もっとも税務署と一口に言っても色々な部署がある。しかし、何と言っても税務署の中心的な仕事は税務調査だろう。今回はその中でも法人課税部門に的を絞って何故暇なのかを探ってみよう。
 

 
   

1.勤務評定のために働く?

 税務職員は言わずと知れた国家公務員である。従って、懲戒処分でもない限り、クビになることもなく安定した収入が保証される。そのためか世間では他の公務員と同様に、競争もなくのんびり仕事をしているのだろうと思われている節がある。これはとんでもない誤解であることを、初めに申し上げておきたい。とりわけ法人税の調査部門では、毎日が同期や同僚との戦いなのである。
 何故か。それは毎年3月末に勤務評定(通称"キンピョー")が行なわれ、それによって昇給や昇格に影響があるためである。それでは、どのような職員に優良な勤務評定が下されるのだろうか。"税務調査で良好な事績を上げた者"と、とりわけ若い職員は信じている。そのために、彼らは増差(申告額と調査額の差額)を稼ぎ、重加算税の課税をし、数多くの案件を処理することに励むのである。
 ただ、民間でも同様であるが、営業職の人間は単に数字をあげれば、それだけで出世する訳ではない。先を見越し組織全体を見る目があるか、後輩を育てる力量があるか、上司に協力をし、恭順の意を示しているか等々様々な観点から人事評価はなされるのである。事は数字をあげればいいと言う、それほど単純なものではないのである。


2.工夫された競争システム

 そのことを理解できるのは、自分が相応の立場となり、部下を持つようになってからである。若い内は出世欲もあるだろう。そして人より早く昇給もして、生活の糧を多く稼ぎたいとも思うだろう。そんな心理を当局は非常にうまく利用し、競争システムを構築しているのだ。例えば、毎年いわゆる定期昇給が保証されてはいる。しかし、それぞれの条件に該当する年次には、特別昇給と言って通常の昇給以上の上がり方をする制度がある。ただ、これは全員ではない。キンピョーの良い"成績優秀者"だけが対象なのだ。今年は第何期の人間がこの特別昇給の対象者になるかは、誰しも知っている。そこで後れを取れば、当然のことながら次の昇給や昇格にも影響する。だからこそ、彼らは必死になって調査に励み、キンピョーをAランクにしたいと頑張るのだ。
 また、一定額以上の増差所得等をあげた事案においては、報告書を提出する前に、栄誉ある"セレモニー"が用意されている。それは通称"重審"と言われているが、重要事案審議会を意味するものである。金額によって税務署長又は副署長の前で、事案の報告をするのだ。これに何回も出席できる人間は、当然のことながら署長や副署長の覚えめでたく、キンピョーにも繋がろうと言うものだ。とにかく当局は見事なまでに互いを競わせ、切磋琢磨させるシステムを構築している。


3.キンピョーの仮締めは12月、本締めは3月

 それ程このキンピョーは大切なのだが、毎年の事なので当然のことながら締日がある。一応12月末が仮締めで、7月の人事異動から半年の実績で概ねの評価が決定する。但し、最終の締めは3月末のため、調査官はこの時期までは必死で頑張る訳である。そのため、12月までの成績が金メダル、1~3月は銀メダルと言われ、4~6月は銅メダルどころか参加賞なのだ。キンピョーに影響がないためである。
 つまり、ヨンロクは頑張っても無駄で、単なる件数消化。野球で言えばペナントレース終了後の消化試合なのである。従って、この時期の調査は至って緩く、とりあえず何らかの非違があれば簡単に修正申告を提出して終了となるケースがほとんどなのだ。では、もしこの時期に消化試合の積りで臨んだ調査事案がとんでもなく"美味しい"事案に化けそうだったらどうするか。実はそれが悩みどころなのだ。結論を引き伸ばし、7月以降にすれば金メダルが狙えるかも知れない。しかし、7月は異動の時期、辞令が出て他署に転勤となるかも知れない。
 また同じ税務署ではあっても、所属する部門が変わってしまうかも知れない。実は法人課税部門においては、部門ごとに業種が決まっていて、3部門から4部門に移ったら、その事案を持って行くことはできない仕組みになっている。


4.法人課税部門以外は事情が異なる!

 以上述べたことは、あくまで法人課税部門の話である。所得税や資産税を扱う個人課税・資産課税部門では、1~3月は確定申告と言うビッグイベントがあり、法人課税部門とは趣を異にする。同じ調査部門でも、法人は数字にギスギス、個人はおっとり。所得税法や相続税法が血も涙もあるのに対し、法人税法がドライな割り切りの法律の規定となっているのに、何やら似ている気がする。
 
 
     
 

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