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ATO通信 5313号

相続税の申告後に税務署が行なうこと

    (2018年6月29日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  相続税の申告後に税務署が行なうこと  孫子の兵法に、"彼(敵)を知り、己を知れば、百戦殆うからず"と言うのがあります。 税務署は必ずしも敵ではないかも知れませんが、税務署が何をやっているかを知ることは、決して損にはなりません。相続税の申告書を提出すると、どんな作業が待っているかが分かれば、自ずと作戦も立て易くなるのではないのでしょうか。
 

 
   

1.申告書から分かる事

 相続税の申告書には、被相続人の財産の明細が記載されます。金融資産については、銀行や証券会社ごとの支店名、預金や株式等の種類や銘柄と金額。そしてそれを誰が相続したのかが分かる仕組みです。税務署には被相続人が生前にどこの金融機関にどんな預金等を持っているのか、分かっている部分もあることはあります。資料箋と言って、様々な情報を日々収集して資料化しているからです。所得税や法人税の申告書にヒントがある場合もあるでしょう。また、振替納税と言う税金の自動引き落としをしていれば、勿論その口座は税務署の知る所です。とりわけ資産家には目を光らせていて、新聞記事や週刊誌に至るまでその情報源には事欠きません。しかし、大半の一般の方については、決算書等から判明しているもの以外、それ程詳細には分かっていないと言っていいでしょう。そんな状態から実際の相続税の調査事案の目星をつけ、これはと思うものを選定するのは、税務署としてもなかなか難しいものなのです。


2.預貯金等の照会文書

 さて、提出された申告書から税務署はまず何をするのでしょう。申告書に記載されている全金融機関に対し、まずは照会文書を発送します。亡くなった日当日の残高だけではなく、生前の預金の動きが問題なのです。例えば生前に被相続人の定期預金が満期になったとします。その同じ日に同額が奥様名義の定期預金になっていたら、一体どんなことが考えられるのでしょうか。奥様への贈与か、贈与がなかったとすれば奥様の名義を借りた借名預金と言うことになるでしょう。いずれにしても、本人名義になっていないため、相続財産からもれてしまう可能性も大きいものと思われます。これらのことは被相続人の通帳だけを過去何年か洗い出しても分かりません。
 そうです。税務署は被相続人ばかりでなく、相続人や申告書から判明した総ての関係者名義の預金の動きを、数年分にわたって復元してくれるよう、全金融機関に照会するのです。つまりが税務調査の段になって過去の通帳を隠しても、焼却しても無駄なのです。税務署は預金等の動きはすべてお見通しと言うことです。
 証券会社についても同様で、被相続人ばかりでなく関係者名義については総てお見通しです。


3.税務調査はいつ来るのか

 上記の照会文書を出して、各金融機関からの回答が出揃うのに2~3ケ月はかかるでしょうか。その回答を税務署は丹念に精査し、怪しい臭いのするものと、しないものに峻別をします。本当は提出された申告書の総てについて調査したいところでしょうが、時間と人員にも限りがあります。そこで問題のありそうなものだけが晴れて"要調査"となり、そうでないものは"(調査)省略"となるのです。相続税の調査は通常異動時期直後の7月から12月が一般的です。が、特に資産家については『特別国税調査官』と称する方々が、確定申告期間以外はほぼ一年を通して調査をしています。従来は異動時期の7月までに提出された申告書について、7月以降に調査があることが多かったようです。しかし、今はそんなに早く調査があることは少なく、完全にそれより1年遅れで来ることも多いようです。文字どおり、天災(?)は忘れた頃にやって来る、と言うところでしょうか。

4.税務調査の密度は希薄化!申告される件数は

 ご存じのとおり、平成27年から相続税の基礎控除額が減額されています。かつては5,000万円に加え相続人一人当たり1,000万円が基礎控除額だったのです。それが現在ではそれぞれ3,000万円と600万円に従来の6割にまで引き下げられています。課税される価額が引き下げられれば、申告件数は必然的に増加します。とりわけ東京国税局管内では2倍程度の申告件数になっているとか。それに対し相続税を扱う資産税の職員は、横ばいか微増にとどまっているようで、これでは十分な税務調査は行えません。その影響を受けての結果なのでしょう。昨今の税務調査は極めて短時間に終了します。かつてはまずは被相続人や相続人の人となり、財産状況等の聴取から始まって、財産管理は誰がどのように行っていたかを詳しく調べていたものです。それが、現在はいきなり預金の動きについての質問から。前述の預金の照会からの問題点を洗い出し、ストレートな質問に終始。基本的には午前中だけで調査は終了することも多いのです。これなら1件当たりの処理時間は半減、2倍の件数処理も可能なのでしょう。調査の密度は明らかに希薄化していますが、税金を納める側にとっては朗報と考えていいのか悪いのか・・・。
 
 
     
 

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