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ATO通信 5314号

判断能力がなくなる前にすべき事

    (2018年7月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  判断能力がなくなる前にすべき事  人間誰しも年をとります。記憶力が落ち、判断能力も衰えます。人によっては認知症にもなるでしょう。身体的な介護は可能でも、このような状況になると、問題は本人の意思を確認できなくなる事です。そうすると、例えば色々な契約の締結や公的な手続きが進みません。代理人では履行できない事柄も多いのが実状です。その時に備え、今から準備できることを考えてみましょう。
 

 
   

1.絶対にやってはいけない"成年後見制度"

 筆者は事あるごとに"成年後見制度"の活用については警鐘を鳴らしてきました。成年後見制度は判断能力を失った場合、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が身の周りの世話や財産管理の支援をして、本人を保護する制度です。制度そのものに異議を唱えるものではありません。むしろ権利の保護の観点からは有用でしょう。しかし、実際の運用が硬直的で使い勝手が良くないのです。家庭裁判所への報告が煩雑であることに加え、最たるものが財産の処分を基本的にはほとんど行えなくなる事です。借り入れによる賃貸物件の建築や、底地の処分など到底認められません。どうしても生活費等が必要な場合を除き、有効な売却もできなくなるのです。


2.結論としては"信託"なのですが…

 成年後見制度に代わるものとして、お勧めできるのはやはり信託しかありません。信託行為を委託する相手は、お子さんでもご自身の息のかかった法人でもいいでしょう。ご家族の将来を考えて、違法性のない行為ならほぼ総ての行為が信託により可能になるからです。必要な場合には、ご本人に代わって信託を受けた受託者が、売却処分や建物の建築契約さえも行えます。さらに言えば、相続後にそれぞれの財産を誰に委ねるかも決めておく事ができるのです。つまり、信託契約をすることにより、遺言書の代わりにもなると言うことなのです。


3.信託契約の締結には本人の意思確認が必要!

 それほど便利な信託です。例えば時折ボケたことを言うようになったし、物忘れも頻繁だからと言って、信託をしようとするとしましょう。何をどうしたいのか、総て本人の願いは叶えられますが、それには信託契約が必要です。口頭ではなく書面に落とし込むことが必要になります。法的効果もある契約書の作成となれば、弁護士先生の登場でしょうか。勿論弁護士に依頼すれば、法的に有効な契約書の作成は可能な事が多いでしょう。
 ここで"できるでしょう"ではなく、"多いでしょう"と言ったのには訳があります。昨今はかなり浸透してきた信託ですが、まだまだ総ての弁護士が信託に精通している訳ではありません。弁護士を選ぶ必要はありますが、ともかくその弁護士が法的にも有効な契約書を作成したとしましょう。その上で信託契約を公正証書にすることは必ずしも必要ではありません。しかし、公証人の立ち合いの下、公正証書にしておくことで、契約書としての証拠能力が高まります。後日、委託者の判断能力の欠如等が問題になる事を防ぐことにもなりますので、公正証書にしておくべきでしょう。


4.問題は登記です!

 公正証書にするかどうかは別として、信託の対象物が不動産であれば、登記をする必要が生じます。実はそれが問題で、契約書類の作り方によっては登記所が受け付けてくれないこともあるのです。信託法上は有効かつ適正でも、それがそのまま登記できるかどうかとは別問題なのです。その不動産が登記できるかどうかは、『不動産登記法』と言う法律に則っているかどうかで決まります。 
 つまり、信託法上は有効な契約書でも、必ずしも不動産登記法上有効で、登記が可能かどうかは別問題なのです。と言う事は、仮に弁護士が作成した契約書でも、登記が可能かどうかの検証を司法書士に委ねる必要があるのです。そうであれば、弁護士を通さず初めから司法書士に契約書の作成を依頼することも実務的な判断でしょう。但し、ここでも弁護士と同じ問題があり、総ての司法書士が信託に精通しているかどうかは別問題です。


5.本人の意思確認は誰が行なうか?

 さて、登記以前の段階で、つまり信託契約書の作成段階からでも、また、いよいよ登記をする段階で司法書士に依頼するにしても、司法書士が必ず行わなければならないのは、本人の意思確認です。なお、不動産の売買契約時でも、司法書士は売主、買主の意思確認をしなければなりません。これは法律の改正がその引き金になっているのです。平成14年の司法書士法の改正、平成15年の不動産登記法の改正で、司法書士の業務権限が拡大し、法律家としての位置づけが強化されました。但し、それに伴う業務責任として、本人確認と意思確認が求められるようになったのです。では、司法書士がそれを行わず、それにより損害が生じた場合どうなるのでしょう。最悪は法務局による懲戒処分が待っています。ボケ老人を利用して信託契約を行うことも、不動産を売却させることも、総ては司法書士を抱き込めるか否かに掛る???
 
 
     
 

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