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ATO通信 5320号

銀行調査で何がバレる?

    (2019年1月31日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  銀行調査で何がバレる?  税務署は時折り銀行調査と言うものを行います。本人そのものではなく、相手方、取引先を調査し、事の真相を確認するのですが、このような調査を反面調査と言います。銀行調査も反面調査の一つなのですが、これによって結構お客様が我々税理士にも仰って頂けなかったことが表出します。では、銀行調査とは税務署がどんな手続きで何を調べることなのでしょうか。
 

 
   

1.質問検査権に基づく税務調査

 税務署には税法上、質問検査権と言う権限が与えられています。この権限によって税務調査が自由に行われる訳です。ただ、この質問検査権、本人や調査対象の法人だけではありません。取引先や関係する相手方までにも及ぶのです。本人以外のこれら相手方への調査である反面調査ですが、銀行調査も典型的な反面調査の一つなのです。これにより、税務署は取引の実態を把握し事実を確認できることになるのです。


2.銀行調査で何を行うのか?

 では、銀行調査において、税務署はどんな手法で何を調べ、何を確認するのでしょうか。
色々ありますが、個人の場合には、先ずは調査対象本人の他、家族名義での預金の有無と残高でしょう。次にそこで判明した各人の普通預金の数年分の動きです。言ってみれば、過去の年分の普通預金通帳の復元と言ったところでしょうか。それを通じて、入出金の大きな金額の使途と原因、不動産売却や購入の有無、或いは定期預金の形成の経緯等が分かってきます。不動産の売却や購入、定期預金の形成自体が問題になる訳ではなく、お金の動きと申告の適正性が確認できればいいだけです。
 ただ、普通預金で問題になるのは、名義人本人のものかどうかです。往々にして本人以外の家族名義の通帳を利用して、お金を動かしているケースも散見されます。この事が直ちに不正な行為になるとは限りませんが、本人以外の名義を利用するとすれば、何らかの理由があってのことでしょう。例えば、子供名義の定期預金を作成すれば、本人の財産から外す事ができ、しかも子の財産になると思っている方がいらっしゃるかも知れません。勿論、こんな事で財産の移転はできませんし、場合によっては子への贈与だと認定される危険もあります。


3.本人かどうかの確認

 税務署が名義人本人のものかどうかを確認するのに、預金の流れを、そしてお金の動きを見るのは当然です。が、それと併せて預金者が銀行に提出した普通預金や定期預金の印鑑票を必ず確認するのです。そこで見るのは記載した人の筆跡です。昨今は銀行も本人確認を厳重に行っています。口座開設時に印鑑票を作成するに当たっては、必ず本人が記載している筈でしょう。それを次の項で述べる伝票調査の際、本人の筆跡と比較するのです。入出金伝票は届け出の印鑑さえお持ちなら、誰でも記載ができ、現金の出し入れができるためです。筆跡から誰が記載したのかを判定するのは、それ程難しい事ではありません。
 また、名前もさることながら、数字にはそれぞれのクセが出るからです。税務職員がよく使う手口としては、調査当日に例えば自宅に臨場した際、奥方にご家族全員の生年月日を教えて下さい、と言って数字を書かせることがあります。これで0から9までひととおりの数字の筆跡は把握できてしまいます。


4.最大の目的は伝票調査

 銀行調査の最大の目的は、何と言っても伝票調査でしょう。銀行調査は伝票に始まり、伝票に終わると言っても過言ではありません。伝票を見れば、A名義の預金とB名義の預金が繋がり、筆跡から同一人物であることが分かったり、どちらかが真実の名義でなかったりすることが分かるためです。何故でしょうか。出金伝票を見たら、同日付の入金伝票を見るのです。それにより、預金口座が振り分けられ、別名義の口座へ移されていることも分かるのです。ただ、そうは言ってもこれは熟練の技。数ある入出金伝票の中から、それを見つけ出すのは新人の調査官にはできません。第一、出金した金額と入金額が必ずしも同額とは限りません。1,000万円の出金が600万円と400万円の2つの口座に分けられている可能性もあります。それが1,000万円の出金と結びつきそうだと感じるのは、"カン"が働くかどうかだけ。税務職員にも向き不向きはあるのです。不向きだと思った人が早々に退職して税理士になるのかどうか、筆者にはそこまで分かりませんが…(筆者も若かりし頃、税務職員でした!)。


5.銀行調査は頻繁に行うのか?

 税務署にとって、そんなに色々なことが分かり有用情報が集まる銀行調査、総ての案件に対してやったら良さそうです。銀行にとっては幾ら調査への協力義務があるとは言え、甚だ面倒。で、税務署もこれを行う時は、税務署長の許可のもと、特別な調査票を持参して、本当に必要な場合にだけに限定しているのです。
 
 
     
 

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