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ATO通信 5322号

配偶者居住権をどう考えるか?

    (2019年3月29日更新)   執筆者:阿藤 芳明

  配偶者居住権をどう考えるか?  民法の改正で"配偶者居住権"と言う権利が創設されています。それまで夫婦で住んでいた土地建物を、残された配偶者が相続するのは至って自然な事。その土地建物の所有権ではなく、居住する権利だけを取り出して一つの権利としたのです。なぜこんな事をする必要があったのか、その背景と問題点について考えてみましょう。
 

 
   

1.配偶者居住権創設の背景

 配偶者居住権とは、被相続人が生前配偶者と共に起居していた土地建物に、相続後も配偶者が所有権を有すること無く居住し続ける事ができる権利です。なぜこのような権利を創設する必要があったのでしょうか。例えば次の事例で考えてみましょう。遺産が居住用の不動産2,000万円と預貯金3,000万円、相続人は妻と子の2人です。法定相続分で財産を分割しようと考え、合計5,000万円を1/2ずつ相続する前提です。妻は不動産2,000万円を取得すると預貯金は500万円になってしまいます。これだけでは残された人生の生計費としては心配です。預貯金が少額なのは、不動産が法定相続分である1/2の大半を占めてしまうためです。こんなケースも考えられます。再婚の夫婦で、前妻の子が2人いるようなケースです。再婚後、比較的短期間後に夫の相続があった場合でも、妻には1/2の法定相続権が生じます。どれ程妻である期間が短くても、入籍していれば妻は妻。それを前妻の子は快く思わず、財産分けでもめる事はよくあること。それを理由に入籍を諦める方も、これまでにはいらっしゃいました。それもこれも、不動産の所有権が財産の内に占める割合が大きいためなのです。


2.所有権と居住権との分離

 上記のケースで、いずれの場合も残された配偶者は、法律的に所有権を得ることが最大の狙いではないだろうと思われます。住み慣れた家に、夫亡き後も住む事ができれば、大きな安心になるのではないのでしょうか。その意味で所有権はないものの、自分が亡くなるまでそこに住み続けることができればいいのです。
 その点に着目し、民法は完全な所有権を住み続けられる権利(配偶者居住権)とそれ以外に分けました。その上で前者を財産価値的には小さくすることによって、配偶者が他の財産までをも取得し易くしたのです。この民法の改正によって、相続税と言う税法でもそれぞれの権利をどのように評価するかが必要になってきました。両者の合計額が完全な所有権と言う考え方です。これは言ってみれば、更地を底地と借地権に分け、この両者の合計が完全所有権である更地の価額になる事と、税法上の考え方は同じです。


3.配偶者居住権の評価

 それではこの配偶者居住権、相続税法上はどのように評価するのでしょうか。先ずはこの居住権を土地部分と建物部分に分け、それぞれの評価額を算出した上で、それの合計額が配偶者居住権の評価額となります。これはちょうどマンションの評価に当たって、マンションを土地と建物に分け、それぞれの合計額を以てマンションの評価額とするのと同様です。
 まず、建物の居住権は建物自体の相続税評価額から、次の算式で計算した額を控除した額です。
 控除額=建物の相続税評価額×(A)÷(B)×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
 (A)=残存耐用年数-存続年数
 (B)=残存耐用年数
一方、土地の居住権は
土地の相続税評価額-(C)
 (C)=土地の相続税評価額×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
 と、ちょっと複雑です。総じて、古い建物はあまり多額にはならず、土地も配偶者が高齢であれば、相続財産として大きな比重は占めないように設定されています。


4.配偶者の老後を考えたら

 民法の法定相続分で考えると、配偶者が自宅の土地建物を相続すると、それだけで大きな比重を占めてしまいます。だからこそ、居住権だけを取り出して所有権から分離し、配偶者の居住の継続性を担保してきた経緯があるのでしょう。
 しかし、そもそも論として配偶者と子がいる場合、配偶者の法定相続分が1/2、子が1/2の割合が適正なのかどうかは筆者の判断能力を超えています。ただ、婚姻後にできた財産は、夫婦の協力によってできたものです。そこに子供の貢献はないのではないでしょうか。だとすれば、配偶者以外の相続人の相続権など考慮せず、財産は総て配偶者に相続させる。これが本来の姿であるような気もします。子は両親が亡くなって、初めて親の財産を感謝をしつつ引き継げばいい、と筆者は勝手に考えているからです。
 
 
     
 

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