一昨年の後半、日本を代表する製造系の大企業が、自社製品の検査数値をごまかしていたことが、続々判明した。神戸製鋼、三菱マテリアル、日産自動車、スバル、東レ等々がそれである。個々の事例の詳述は避けるが、要するに我が国製造業の競争力の原点であった、精細なものづくりの信用にケチがついたと言う意味で、これらの事件の影響は計り知れない。
健全な家庭であれば、誰でも幼い頃には、親が寝物語をしてくれる。寝物語の内容は、個々の家庭、親の知識教養の範囲によって様々であろうが、英語でもBed side storyという言葉があるくらいだから、こうした習慣は世界共通のものなのだろう。この稿の筆者の場合、寝物語をしてくれたのは主に父親であった。父は、大正11年生まれであったから、彼の思いつく「子供向きの話」は、戦前の文部省唱歌の世界が多かった。 今月紹介する「因幡の白兎と大黒様」のお話は、その中の一つである。
佐々木、鐙踏んばり立ち上がり、大音声をあげて名のりけるは、宇多天皇より九代の後胤、佐々木三郎秀義が四男、佐々木四郎高綱、宇治川の先陣ぞや。(平家物語「宇治川先陣」)以前本欄でも取り上げた、佐々木、梶原の「宇治川先陣」の場面である。 さて、今月のお話は、日本人の(主に男性の、武士階級の人の)名前についてである。
かねて、アイスクリームというのはどのようにしたら出来るか、ということを考えてきた。言葉の通りであれば、町でクリームというものを買ってきて、冷凍庫に入れたらできるような気がするのだが、どうもそういうものでもないらしい。その疑問が解けたのは、我が家の息子達が小学校3年生くらいの頃、北海道のとある湖畔の観光牧場に連れて行って、「手作りアイスクリーム体験」なるものに…
はじめに、サンドイッチの由来を少し語る。 サンドイッチは英国ケント州の地名。その地の領主第四代サンドイッチ伯爵は、英国海軍大臣などを歴任した政治家。遠洋航海による世界探検にも熱心で、キャプテン・クックのハワイ航海の支援者。ハワイのことをサンドイッチ諸島とも言うのは…
太郎は、小学校に入った頃から、「ものの名前」を知るのが好きであった。動物、植物、昆虫、それに恐竜、いろいろな図鑑を買ってもらっては、名前を覚え、周囲にも語った。特に好きであったのは昆虫で、毎年夏休み、母方の田舎の実家に行き、虫籠を持って野山に出かけるのが一番の楽しみであった。母方の祖父は農家を営んでいたが…
前号では、自転車が都会の車道を通行するのは歩行者にとっても、自動車にとっても案外迷惑であるという話、そして解決のためには本格的な自転車レーンを都会の幹線道路に導入すべきだ、という話を書いた。が、紙数が足りず、「迷惑」の所以を抽象的にしか書けなかったので、今月号では、もうすこし具体的に、都会幹線道路における自動車vs自転車バトルについて書いてみたい。
十年ほど前、オランダのアムステルダムの町に泊まったときのこと。 朝、ホテルから外に出てみると、都心の賑やかな通りの道端が、幅数十センチほど、鮮やかな色に塗り分けられているのを発見。その色のついたレーンを、多数の通勤自転車がすいすいと行くのを見て、初めてこれが自転車レーンというものだと、気がついた。 その後、東京でも時々自転車レーンを見かけるようにはなったが、アムステルダムのように…
以前の本欄で、麻雀の役作りにこだわる話を書いたことがある。 麻雀を、競技、博打と考える人にとっては、ゲームに「勝つ」ことがゴールである。勝つためには、こつこつと一局ごとに、他者よりも早く、ほどほどの値の役で上がり、逃げ切るのが常道なのだ。が、勝つことより、「美しい役で上がる」ことに魅せられて、リスクを冒し、大三元とか国士無双とかいう、高値の役作りに挑むことを以て良しとする人がいる。それは人類のDNAの中に潜在する…
桜海老漁の漁期は、10-12月と、3-6月。桜海老の名所、静岡県由比の漁港では、3月21日が春の桜海老漁解禁日である。桜海老祭りは、毎年5月3日だとか。 生きている桜海老は、透明で、甲の部分に、ピンク色がかかっている。ゆでると鮮やかな色に染まる。昼間は水深200-300mのところに沈んでいるが…
セレブは、英語のcelebrityの略。高名とか、名声という訳がある一方で、有名人、名士という意味で使われることもある。有名人の場合の複数形は、celebritiesとなる。 さて、日本でセレブというのは、どういう人たちのことなのだろうか。 本誌1月号が取り上げている秋川滝美という若い作家の著作に…
はじめに、「英国の食い物はまずい」という俗説への反論から書き始める。 この稿の筆者に言わせれば、そのような偏見を流布したのは、世界の料理大国フランスの人々とその与党であろう。だが、フランスとイギリス、パリとロンドンの食い物の違いは、いわば京と大阪のそれになぞらえることが出来る。上流階級が食する高級料理といえばパリのミシュランの星が付いたレストランや…
その昔、三倍増醸清酒というものがあった。いわゆるアルコール添加清酒のことで、日本酒本来の醸造によって生まれたアルコールの二倍程度に当たる醸造用アルコール(焼酎などが主成分と言われる)を加えて、アルコール度を高め、「酔いやすく」した清酒である。 第二次世界大戦後、多数の兵隊さんが外地から復員し、あるいは旧植民地などからも多くの日本人が引き揚げてきたため、日本国内の人口は急増した。一方で、食糧としての米の需要に対して戦争で食糧生産は減少し、米の需給は逼迫、本来であれば…
今から、40年ほども前のこと。この稿の筆者は、大学の卒業旅行に出かけ、ロンドンの親戚Iさんの家に世話になっていた。Iさんは、東大ラグビー部の出身で、海外遠征で英国にやってくる後輩たちの面倒もよく見ていたようだ。そんなIさんの家の常連客の一人に、F君という、私と同年輩の有名なラグビー選手がいた。F君の大学ではそのころちょっとした不祥事があってラグビー部が休部となり、F君は一人で英国にラグビー留学をしていたようだ。
江戸時代のこと。士農工商と言った身分から、やや離れたところに、現代で言えば自由業にあたる一連の芸事の師匠という職種があった。 それらの中で比較的安定していたのは、武士に必要な芸を教授する職で、剣術、槍術、弓術などの師範、漢学塾の先生などがこれに該当する。和歌、料理などはこの時代既に古典芸能で、冷泉家、四条家などと言う京都の皇室由来のお公卿さんが家元になって印可という名の権威を与えることになっていた。かわったところでは、相撲もこの皇室由来の芸の一つで…
たとえば貴方が、自営業を子供に譲った、会社を定年で退職した、子供が就職して地方に赴任した等々の理由で、いくらか暇になったとする。 もちろん、第二、第三の人生を求めて、儲からなくてもよいからなにかのお仕事に就く、と言うのもひとつの考え方だろう。が、もう一方で悠々自適、これまでの人生で忙しくて出来なかったことを…
今から86年前の9月18日、当時の満州(現在の中国東北地方)奉天(現在の瀋陽市)城外の柳条湖という所で、日本の管理下にある南満州鉄道の路線が爆破された。後に判明することだが、この爆破事件は、当時の日本陸軍の関東軍が仕組んだ謀略であった。爆破事件を、満州を支配していた張学良政権(当時中華民国国民政府に帰属していた)の仕業と断定した…
八月なので、靖国神社の話である。だが、予め申し上げておくと、戦犯合祀だとか、公式参拝だとか、神道は宗教かといった、政治的な争いのある生々しい話題ではない。 靖国神社の起源は、文久二年十二月津和野藩士福羽美静らが、京都東山の霊山(りょうぜん)にまつり、翌年八坂神社境内に、ペリー来航以来の…
平成27年7月の歌舞伎座公演は、松竹創業120周年と銘打って興行されていた。その演目を少し覗いてみよう。 昼の部は、南総里見八犬伝で始まる。八犬伝は、滝沢馬琴作の長い、長~いお話であるが、歌舞伎座ではその内、「芳流園屋上の場」と「円塚山の場」の二幕だけをやる。昼の部二番目は…
以前「歴史認識」という題で、日本のアジアにおける侵略や戦争について、日本人が第一次世界大戦後の国際法秩序しか問題にしないのに対して、中国、韓国の人々は日清戦争やさらには江華島事件などに遡って問題にしているということを書いた。
暦の話である。
暦については、太陰暦と太陽暦、天文学の進歩に伴う各種改暦の話題等があるが、これらについては一応世界的に決着がついていて、1582年にローマ法王グレゴリウス13世が制定したグレゴリオ暦(1年は、平年365日、閏年366日、閏年は4年に1回だが、400年に3回4の倍数年なのに閏年のない年がある)が世界標準となっている。漢字文化圏では、これを西暦と呼んでいる。
筆者は、学生時代、放送研究会に所属して、ラジオドラマの脚本を書いたり、演出をしたりしていた。もう三十年近く前の話だが、それでも当時の社会は、すでにテレビ全盛の時代になっており、ラジオドラマなどと言うものは、民放では特別編成の時だけ、NHKがかろうじて、週に二本放送している程度だった。
本誌に、二回にわたって犬族の会議について書いたところ、発行元の税理士法人内に猫の愛好家がおられて、「あれだけ犬を取り上げたのだから猫も書いてほしい」という要望が、編集担当者を通じて寄せられた。
麻雀という遊びが廃れて、もはや四半世紀近くになるだろうか。我が国がバブルの頂点に向けて、まっしぐらに高度成長の道を突っ走っていた時分には、世の中の会社員は、この暇つぶしゲームに滅相もないお金を賭けて楽しんでいた。最近では、四人面子がそろわないとできないような遊び事は流行らない
小学校高学年の子供がいて、親に問う。「なぜ勉強しなければいけないの」
この年頃になると、いろいろ遊びの誘惑も多い。戸外で思い切り球を蹴りたい。自転車に乗って遠くの街まで出かけてみたい。パスモを使って買い食いをしてみたい等。
朝、目が覚めると、もう嫁さんは台所に立っていて、まな板に包丁をあてるトントンという心地よい音がしている。きっとなにか味噌汁の実にする野菜でも刻んでいるのだろう。鍋にはまだ味噌を溶いていない汁がかかっていて鰹だしのよい香りがしている。
先月号掲載、犬族の会議の続きである。
「議長、ここに社団法人秋田犬保存協会という人間の団体が定めた秋田犬の標準があります」
以下は犬族の会話である。
「諸君、動物界にあって我々犬族くらい、人類と親しくしてきた者はいない。しかし人類の使う言語を分析してみると、犬の出てくる言葉は、殆ど皆侮蔑と差別に満ちているように思える」「そーだ、そーだ」「議長、どこが侮蔑と差別なのか例を挙げていただきたい」
昨年11月号に書いた景気の話の続きである。
世論調査の項目に「あなたが重要と思う政策課題」というのがある。最近調査をすると、だいたい「景気」は「増税・減税」「年金」「福祉」より上位に来る。税金、年金、福祉サービスなどは憲法、外交や国防と違って自分の財布に直接響く。もっとも身近な問題である。だが、それより「景気」の方が大切な課題であるらしい。それはなぜか。
この稿の筆者が、あるビール会社の宣伝マンをしていた頃、ライトビールの新製品のCMに、朗々たるトランペットの吹奏を用いた。制作スタッフによれば、そのメロディはショパンの幻想即興曲から採ったもので、ポピュラーソングとなり「虹を追いかけて」とかいう題名がついているとか。
道を歩いていても、あるいは同僚や親族でもよいのだが、「あ、この人は苛む人だな」とわかるような人がいる。苛む人は、眉をしかめてせかせかと歩く。身体から不快な気配が立ち昇っている。
"America was discovered by Columbus."という有名な英語の例文がある。英語の受動態の例として、中学生の頃習った方も多いに違いない。 だが、アメリカ大陸がコロンブスによって「発見された」というのは、果たして「世界の常識」だろうか。
この欄で敢えて「従軍慰安婦の真相」とか「南京大虐殺で犠牲者は何万人か何十万人か」を書こうというわけではない。が、この頃中国や韓国の人々は、我が国の要路者の歴史認識がまちがっていると言っている。一方我が国では、隣の国が頻りと日本にケチをつけて、あわよくば我が国固有の領土を侵したり、経済的利益を要求したりすることの理由にしているくらいにしか感じていない。
この稿の筆者の友人に、結婚式場専属の披露宴司会者(英語ではmaster of ceremony=MCという)を職業にしている女性がいる。その人と話していたとき気づいたこと・・ まず、下記の文の内、日本語として正しく、且つ披露宴の場に相応しい言葉はどれか。
イギリスの経済学者ジョン・メナード・ケインズが、有名な「雇用・利子及び貨幣の一般理論」を発表したのは、1935年(昭和10年)。ウォール街の株価暴落に端を発した大恐慌から5年余が過ぎた頃のことだ。
昨月は、人間「器量よし」になるためには、自己肯定感を持たなければならないと言うことを書いた。その続きである。自己肯定感とは、「自分は大切な存在だ」という自信みたいなものである。恋愛や仕事が何となくうまくいくと、思えてしまう気持ちでもある。
「器量が大きい、小さい」といえば、人間の包容力の大小を示す言葉である。
量とは度量衡の一つ、枡を示す言葉で、容積の単位である。「器量人という場合には、度量の大にして多くの人を容れるに足る人物をいう」と、語彙辞典には書かれている。
ある日、青砥藤綱が鎌倉滑川の橋を通りかかった際、懐中から誤って十文の銭を落とした。
彼は、家臣に五十文の銭を与えて松明を買ってこさせ、その炬火の明かりで無事十文を滑川の底から拾うことが出来た。
この稿の筆者は当時6歳。彼女の船客の一人として、太平洋を渡り、航海最後の朝早く、喫水線に近い三等船室で目覚めた。陸地は既に前日の夕方バンクーバー島を見ていた。
スキーが、1911年オーストリア陸軍少佐、テオドール・エードラー・フォン・レルヒによって、日本にもたらされたことは、よく知られている。 戦前のスキーは、軍事目的(寒冷の山地を滑って行軍する)か、ごく少数の有閑階級のスポーツ(登山または競技)目的としてしか普及しなかった。レジャー、あるいは遊びとしてのスキーが広く普及するようになったのは、第二次世界大戦後のことである。 以下時代を追って、日本人の遊びとしてのスキーについて述べたい。
最近、「日本はグローバル人材を育成しなければいけない」、ということがよく言われる。 直訳すれば「地球的人材」。なんだか分かったようで、分からない言葉だ。要すれば、日本人でありながら、国際社会に通用する人材と言うことなのだろう。
歌舞伎十八番の内、「暫」は成田屋、市川団十郎のお家芸である。 「暫」は、多くの歌舞伎作品がそうであるように、劇の筋はナンセンスなのだが、場面の様式化によって十八番に数えられた作品である。
さる金融機関のコマーシャルである。 「通帳のお取り替えがまだお済みでないお客様は・・・」 お、なかなか上手に丁寧語をつかっているな。正しい日本語だと思う。 ところがフィニッシュで「至急ご来店の上お取り替えしてください。」 あ、やっちゃった!と、思う。 「お取り替えしてください」は正しい日本語ではない。
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