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  2019年6月
   

「何をしてでも勝ちに行く」体質

     

 
   こちらにUPされている記事は会報誌に掲載後の記事であるため、この稿の筆者が原稿を書き上げてATOの編集者に渡してから、このページにUPされるまで、かなりの時間がある。時事問題を取り上げると、話題の鮮度が落ち、その後の展開によっては、筆者の主張がピンボケになってしまうことがありうるので、時事問題は書かないようにしてきた。

 ところが、最近「時事問題は書かない」という禁を破っても、書かずには居られない事件が起きた。

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 それは、日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件である。この事件は、「昭和の原風景」にもつながるし、何故日本の優良大企業が数十年間も自己の製品の計測値をごまかして顧客に売るというルール違反を繰り返してきたか、という問いにもつながる根深い問題をはらんでいる。

 (世間一般が事実と思っている)この事件の経緯をスケッチする。日本大学アメリカンフットボール部の監督とコーチは、かなり優秀で将来有望な選手が、ルールどおりのスポーツマンシップを信奉し、何が何でもがむしゃらに勝ちに行く姿勢が見えないことに不満を感じていた。監督、コーチの価値観からすれば、スポーツは闘争であり、何をしてでも勝ちに行こうとするような闘志が、この選手には足りないように感じられた。そこで、わざとその選手を干し、日大の試合にも全日本のメンバーにも出られないように仕向けた上で、「当該選手が戦列に復帰するためには、反則をしてでも、相手選手を潰す(怪我をして試合に出られないようにする)行為をやり遂げる必要がある」と(少なくとも当該選手が理解するような言い方で)宣告した。追い詰められた当該選手は、監督、コーチの命令(か示唆かは問わない)を遵守し、試合冒頭反則によって相手選手を怪我させることに成功したが、第二、第三の反則を重ねて退場となると、自らのスポーツマンシップを意図的な反則によって汚したことに気づき、テントの中で号泣していた。一方、監督、コーチは試合直後の時点では、当該選手の行為を「よくやった」と評価し、「反則は監督がやらせたと書いてよい」と報道陣にもコメントしていた。ところが、悪質タックルの画像が世間に流布され、場合によっては刑事事件に発展する可能性も出てくると、監督、コーチはたちまち前言を翻し、「当該選手の行為は監督、コーチの励ましを誤認した結果であり、監督、コーチは反則や相手選手を怪我させる指示はしていない」と居直った。一方で当該選手は、自ら進んで記者会見の場に出て、相手選手に謝罪し、経緯を暴露した。

 さて、筆者が先ず思ったのは、BC級の東京裁判で、捕虜の処刑など国際法に反する日本軍の行為を問われたとき、現場で手を下した者は上位者の命令で行ったと言い、上位の司令官や参謀は「そんな命令はしていない」と惚けたという構図である。そして第二次世界大戦中、わが国がなぜ国際法を積極的に守ろうとしなかったかを問えば、「総力戦とは国家間の、食うか食われるかの存亡を賭した闘争であり、ルールに基づいて行うゲームではない」という考えが上級者の中にあったからだと思う。さらに言えば、昭和、平成を通じて企業が体育会出身者を採用したがってきたのは、さわやかなスポーツマンがほしかったからではなく、「何をしてでも勝ちに行こうとする」者がほしかったからではないか。「何をしてでも」の中には、製品検査の計測値をごまかすような反則行為を含んでいたのではないかと思うのである。一方で、本事件の救いは、加害側選手がテントで流した号泣の涙と、後日毅然と真相を世間に語ったその自立性である。ルールを守り、その中で最善を尽くすという本来のスポーツマンシップが、日本の伝統的な体育会体質を超えた、新しいクラブスポーツの可能性を拓くことに期待したい。
 
     
 

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