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  2021年10月
   

未来の学校 その1

     

 
 
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 かねて、疑問に思っていることがある。それは、全国に存在する(2019年度、小、中、高校で約90万人)教員というものは何をするためにいるのだろう、という疑問である。今月はその疑問を少し深く掘り下げてみたい。

 まず、学業の教育には「知識の伝達」と、「知性の涵養」という二つの側面がある。知識の伝達については、伝達すべき知識の内容は、文部科学省の学習指導要領というもので大概決まっていて、その知識の量がめっぽう多いので、現場の先生はそれを生徒に教え込むことに追われて、もう一方の知性の涵養にまでは、なかなか手が回らないことが多い。さらに知識の伝達は、試験というものによって、測定することが出来る。教えるべき知識の内容がほんとうに届いているかは、比較的容易に数値化することが出来る。

 一方、一つの教室に約40人の生徒がいて、一人の先生が同じように教えても、試験をしてみると出来る者と出来ない者の差が出るのは、個々の生徒がもつ知性の差によって、知識の需要力が異なるからである。この知識の需要力なるものは、生徒個人の中に眠る生得の能力を、教師が引き出すものであって、外から与えられるものではない。この「引き出す」作業を英語ではeducationと言い、普通は「教育」の訳語となっている。知識の需要力の中には、教室で授業を聞いてそれを理解する力だけでなく、知識に対する好奇心と興味を持って、自ら調べ考える力、ある程度の意志と体力を持って学業に向かう力、自分の考えを深めそれを論証する力、違う意見を持つ他者と討議することを通じて真理にアプローチする力などが含まれる。

 この稿の筆者は、学校や教師の主たる役目は、後者すなわち知性の涵養にあるのであって、知識の伝達にはないと思っている。その理由は、「人智に果てはない」からである。文部科学省がいくら精緻な指導要領を整備したところで、この世の知識をすべて18歳までに詰め込めることなど出来はしない。それに、知識は時間と共に拡張変動するので、学校を卒業してからも身につける努力を怠るわけにはいかない。たとえば、この稿の筆者の学生時代にはコンピュータなどというものは一部の研究者のものであったが、今日、パソコン・スマホなしに市民生活を送ることはよほど困難である。と、すれば、遷り行く時代に柔軟に対処し、つねに新しい知識を元に自分の考えを深めるためには知性の涵養こそが大切なのである。

 さて、それでは未来の学校では、この二つをどのように整理して生徒達に向かったら良いか。それは、全国数十万人の現場の教師を「知識伝達」の作業から解放し、「知性涵養」に専念させることである。今日印刷物である「検定教科書」を動画に転換し、全国でもっとも面白く教えられる先生(落語家や講釈師、漫才師でも良い)の授業とか、科学映画やノンフィクション映画の粋みたいな動画を生徒に見せる(時にはゲーム仕様でインタラクティヴなものでも良い)ことを以て授業時間の半分くらいを使う。残りの半分の時間は、現場の先生が、動画と同じテーマをフォローアップしながら、テーマへの興味を喚起し、約20人程度の学級で、ゆっくり生徒と向き合い、時には生徒に発表させ、討議させ、実験や観察を行い、野外や町に出かけてホンモノに出会う機会を作り、エッセーを課したりするのである。つまり、「知識の伝達」は動画に任せて、現場の先生は人間でなければ出来ない教育というものに専念することを提言したい。
 
     
 

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