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  2021年3月
   

告 解 (続)

     

 
   前号では、この稿の筆者がカトリックのキリスト教徒の家に生まれ、生まれて直ぐに幼児洗礼というものを受けさせられてクリスチャンになったこと。子供の頃からカトリック教会の「公教要理」という宗教教育を受けて、教会内での「初聖体拝領」とか「堅信の礼」などの通過儀礼もとびきり早く受けて、信者としての出世が早かったこと。だが、毎週自らの罪を教会で告白させられる「告解」という儀式が次第に心の負担になってきて、遂には教会を離れるようになったこと。などを述べた。  
 
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 筆者にとって、「告解」の儀が心の負担になってきたのは、自らの犯した罪を告白させられるからではなく、筆者の記憶として毎週のように「罪」などを犯しているという自覚がまったくないのに、教会の御堂内に設置された告解ボックスの中で、神父さんに「犯したはずの」罪の告白を強要されたからである。神父さん曰く、人間たる者、一週間生きて罪を犯さないはずはなく、もしも何も罪を犯していないというならば、「それはあなたの傲慢である」というのである。そこで筆者は仕方なしに犯してもいない微罪をでっち上げて告白し、お茶を濁してきたのだが、よく考えてみれば、毎週そのような嘘をつくことの方が、よほど罪深いと思い直し、結局教会を離れたというのが、前号までの話の要約である。まあ、筆者としては、テレビドラマの時代劇でよくある話で、何も罪を犯した心当たりがないのに、奉行所の裏手で、心ない同心、与力に責め道具で拷問される町人といった気分である。

 さて、この話にはさらに後日談がある。それは筆者が中学に入ってしばらく後のことであった。

 帰宅してみると、我が家に客が来ていて、二十歳を少し過ぎたくらいの若い神学生が私を待っていたのである。その神学生が言うには、立派なキリスト教信者(筆者のこと)が、神の御許を去ろうとしているので、迎えに来たとのこと。しかもどうやら、神学校が何故その者を我が家に派遣したかというと、どうもそれ自体が彼に対する試験であって、彼は私を改心させ教会に戻すことが出来れば神父になれる、失敗すれば神父になれないということらしかった。つまり、私の改心に彼の神学校卒業がかかっていたらしいのである。

 なので、彼は真剣に筆者を説得しようとした。だが、聞けば聞くほどその神学生の言うことは、さっぱり分からない。要するに、彼の言うには、私は神という者と、信者となる契約をしたのに、心が弱く迷いが生じて、神から離れようとしているというのである。たしかに神学生である彼は、そのときの私より少し年上の時に、自ら神の存在を信じて、「神との契約」である洗礼を受けたらしい。ところが、筆者がその契約を何時したかというと、生まれて七日目のことだという。それはなんでも私の両親が、万一私が夭折したときに洗礼を受けていないと天国に行けないという教えを真に受けて、保険に加入する気持ちで洗礼を受けさせたのであった。生後七日の赤子に、自分の意志などあるわけはないので、「神との契約」などと言われても、筆者にとっては郵便局の勧誘員に騙されたみたいにしか、思えない。ついでに言えば、「罪の告白」を強要して信者の子供に嘘をつかせる教会のやり口は、筆者としてはなんとも気にくわない。そのことに対しても、神学生の言うには、毎週自分の犯した罪を告白できないような者は、すでに悪魔の誘惑にとらわれているとのことで、もはや筆者と神学生の言い分は完全にすれ違い、筆者は、強い自覚を以てキリスト教徒をやめる決心をしたのであった。

 それにしても、彼の神学生は、その後神父になれたのだろうか。
 
     
 

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