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  2022年1月
   

労働組合 その2

     

 
   この稿の筆者が、労働組合の役員になったのは、就職して名古屋に赴任し、見習い期間が過ぎた直後のこと。はじめは、名古屋支店支部の会計委員とか言うのをやらされた。その頃の労働組合の役員なんてものは、新卒の独身社員が当番でお手伝いするような仕事と相場が決まっていて、大学時代その者が体育会と、学生運動のどちらの運動をやっていたかなんてことは問われなかった。

 労働組合の活動で、最初に驚いたのは、翌年5月1日のメーデーに参加したときのこと。その日は、メーデー歌「晴れた五月」にふさわしい快晴の日で、名古屋の鶴舞公園には、ほとんどピクニック気分の労働者数万人が集い、壇上では地元の音楽団体の人が赤い鉢巻きを締めて、嬉しそうに労働歌合唱の指揮を大仰な身振りで六大学の応援団よろしく執っていた。それから全国組織の中部支部の役員や革新政党の議員なんかのつまらない
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挨拶があり、その後数万の労働者達はぞろぞろと市中にデモ隊となって繰り出し、鉢巻きや日よけの麦わら帽子などを被ってあまり気合いの入らないデモ行進を行って、やがて解散。解散地点近くの中華料理屋かなんかで、お疲れ様の生麦酒で乾杯して、さすがにその費用くらいは組合の経費で出すのだろうと思っていたところ、なんと、メーデー参加者には一日分の労賃相当の日当も出るというではないか。高校大学ともっと激しいデモには何度も行ったが、デモに行って金が貰えるとは、考えたこともなかったのでほんとうに驚いた。かねて、労働組合というのは、なぜ動員力があるのか不思議だったのだが、その謎が解けるとともに、なんだか不純な気がしたのを覚えている。

 さて、筆者はその後一年で支部の書記長というものに出世した。それまでも代議員というものになって全国大会で(ホワイトカラーなのに)かなりブルーカラーよりの発言をしたりしたので、本部に気に入られて抜擢されたらしい。書記長の引継ぎの時に、大真面目で渡されたのが「暗号帳」というコードブックで、たとえばウヲタというコードは「午後8時から○○職場の指名ストに突入せよ」なんていう本部指令を意味していて、FAXはその頃まだ導入されたばかりだったから、いよいよストに突入するときは、主には電話で本部からの暗合指令を伝えたものらしい。(前任者は「もう10年くらい使っていないんだけどね」と言っていた)さて、その頃支部レベルでの大きな労働問題というのは、中高年のおばさん達に対する今で言うセクハラ気味の意地悪だった。上司が何かと屁理屈をこねてはおばさん達に有給休暇を取らせないのである。彼女達は勤続年数の割に、業務内容は採用時から変わらない補助事務で、会社としては、なんとか追い出して若い給料の安い女の子に差し替えたかったようだ。彼女たちを高給無能と指弾する者はベテランの男性組合員にもいて、はじめは彼女たちの側にも組合を頼ろうという気持ちが薄かった。そこで筆者が思いついたのが「スト権投票結果を会社に教えない」という反撃手段。詳しく解説すると、前号のとおり当時春闘は組合側がストを構えるだけで、実際には伝家の宝刀を抜かずに「暁の妥結」とやらをする時代であった。もちろん組合本部はスト権投票全体の結果を会社に通告するのだが、会社はそのほかに支部ごとの賛成率を毎年集計して労務担当者の業績評価に使っていたのである。これを組合支部に隠されてしまうと、意地悪の先頭に立っていた労務担当課長等は、「労使関係がうまく行っていない」とされて本社のお覚えが悪くなるのである。春闘のある日、筆者は応接室に監禁され、「お願い、頼むから教えて」と労務担当課長に哀願されて、ぶじ彼女達の有休取得を妨害しない約束を勝ち取ったのだった。
 
     
 

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