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  2013年10月
   

羽化登仙 酔生夢死

     

 
 

 いずれも、酔っぱらいをあらわす四字熟語である。

「羽化登仙」とは、酒を飲んで良い気持ちになること。酔っぱらった結果、自分に羽が生えて天に昇り、仙人の境地に遊ぶ気分になることを言う。宋の詩人、蘇東坡こと蘇軾の有名な作品、「前赤壁の賦」の冒頭に出てくる言葉である。

 壬戌之秋、七月既望、蘇子與客泛舟、遊於赤壁之下。清風徐来、水波不興。挙酒蜀客、誦明月之詩、歌窈窕之章。少焉月出於東山之上、徘徊於斗牛之間。白露横江、水光接天。縦一葦之所如、凌萬頃之茫然。浩浩乎如馮虚御風、而不知其所止、飄飄乎如遺世独立、羽化而登仙。於是飲酒楽甚。扣舷而歌之。歌曰、桂櫂兮蘭漿。撃空明兮泝流光。渺渺兮予懐、望美人兮天一方。

 「羽化登仙」の前後だけ読み下す。

 浩浩乎トシテ虚ニ馮リ風ニ御シテ、其ノ止マル所ヲ知ラズ。飄飄乎トシテ世ヲ遺レ独立シ、羽化シテ登仙スルガ如シ。是ニ於テ酒ヲ飲ミテ楽シムコト甚シ。舷ヲ扣イテ之ヲ歌ウ。

 広々とした長江に舟を浮かべて遊んだ蘇東城は、舟上客と酒を酌み、ふわふわと幽体離脱したような気分になっている。だんだん酒がまわって、大いに良い気分になって、舟縁を叩いて拍子を取って歌をうたったということらしい。宋の元豊5年(西暦1082年)の秋7刀16日の夜のことである。

 中国の詩人の例に漏れず、蘇軾は、宋の役人である。この時代の宋は、王安石の新法改革というので政治は大混乱。蘇軾は旧法派で、お定まりの左遷を喰らって、地方をドサ周りしながら、今に残る詩の数々を創作した。

「酔生夢死」は、全く同時代の宋の思想家程頤(ていい)の『明道先生行状記』の中にある言葉。

雖高才明智、膠於見聞、酔生夢死、不自覚也
高才明智ト雖モ 見聞ニ膠スルハ 酔生夢死シテ 自ラ覚ラザル也

「見聞ニ膠スル」の膠と言う字は、「こう」と読む。「にかわ」のことで、膠がくっつくようにこだわるという意味である。「才能が高く、智の明らかな人であっても、自分の見聞にこだわる(ような者)は、一生を酔っぱらいのまま過ごして、夢を見ている内に死ぬようなもので、自ら(真理を)覚らないまことにつまらない生き方である」と程頤先生は言われている。この時代の宋は、まもなく朱子学や陽明学がでてきて、儒教の「哲学化」が起きようとする時期。程頤先生は、朱子学の祖、朱熹に大きな影響を与えた先覚者である。程頤と蘇軾は、面識があったようだ。Wikipediaによれば、宋の皇帝哲宗の侍講に就任した程頤は、「性格が謹厳に過ぎその非妥協的な言動が同僚との軋轢を生じ、特に蘇東坡やその門下生と争い、まもなく朝廷を追われた。」とされている。

それはともかく、「酔生夢死」とは、そんなにつまらないことであろうか。この稿の筆者は、この言葉が大好きで、書き初めなどの際は、選んでこの四字熟語を書く程である。「一生を酔っぱらいのまま過ごして、夢を見ている内に死ぬ」なんて、こんなに素晴らしい人生はないと思うのだが。

筆者としては謹厳実直の程頤先生より、酔っぱらい詩人の蘇軾の方に軍配を揚げたい。

 
     
 

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