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  2014年6月
   

たわむ

     

 
   3月号で述べた「ゆるい」のつづきの話である。

 「スマートで目端が利いて几帳面、負けじ魂これぞ船乗り」というのは、戦前の帝国海軍士官のモットーだが、同様の言い伝えがもう一つある。それは「angle bar になるな、flexible wireになれ」という言葉である。これは意訳すると「柔よく剛を制す」ということになる。

 angle barとはどういうものかというと、山形鋼という名の鉄の棒である。L字鋼ともいう。

 直角に折り曲げられた断面を持つ長い鉄の棒で、撓むことがない。重さの割に剛直である。建築資材に使われる。ピンと突っ張っている。


器量
 それに対して、flexible wireの方は、建築・電気用語では「たわみ線」と訳される。細い鋼材を多数撚って線として用いる。代表的なものは、電線、通信ケーブルなどである。flexible wireは、文字通り柔軟な線である。ピンと張っていない。支点と支点の間を、少し撓んで張られる。

 それで、加重や圧力を受け止める上では、angle barよりもflexible wireの方が強いというのが船乗りの経験則であったのだろう。遊び好きで、普段は冗談を飛ばしているような士官の方が、戦闘場面になると、日常からしゃっちょこばったり、豪傑ぶったりしているような士官よりも、役に立つというのが、日本海軍の考え方であったのだろう。あるいは心密かに、陸軍はangle barだが、俺たち海軍はflexible wireなのだ、と思っていたのかも知れない。

 angle barとflexible wireの対比は、そのまま「益荒男振りと手弱女振り」に通じるところもある。なぜなら「手弱女」の語源は、「たわやめ」即ち「撓む女」だからだ。漢字で女性がたおやかな様を書くと「嫋々」(じょうじょうと読む)となる。まさに「手弱女」であるが、「たわやめ」はなよなよとしているようで、なかなか落ちない女性だったのだろう。

 一方の益荒男とは、益荒猛男とか益荒丈夫ともいう。兵士(つわもの)とほぼ同義。狩人、猟師の意味もあるらしい。要するに丈夫な男子のことである。森鴎外訳「即興詩人」に「屈せずして待つが益荒男の事なりと言う」という文言があるとか。西洋の益荒男振りとは、どうも「不屈」というイメージがあるようだ。ちなみに、不屈をあらわす英語Indomitableと「柔軟でない」をあらわす英語Inflexibleは、共に第一次世界大戦の頃の英国海軍の巡洋戦艦の名前で、ほかにInvincible(頑強な、克服できない)という艦もある。どうも日本海軍の師であった英国海軍の方が、益荒男振りが好きだったようだ。

 「益荒男振り」と「手弱女振り」を対比して前者に軍配を挙げたのは江戸時代の国学者賀茂真淵で、この場合「益荒男振り」とは万葉集に代表される古代の和歌、「手弱女振り」というのは古今集に代表される中世の宮廷の和歌である。賀茂真淵は主に短歌論として、万葉の男性的な詠み振りを復活させようとしたのだが、そのことが同時に、魔除けのために幼時の皇子を女装させるというような近世の皇室のあり方、「手弱女振りの天皇」への批判につながっていった面もあると、この稿の筆者は思っている。



 
     
 

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