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TOP今月の言葉軍艦の名前 2017年03月

今月の言葉

2017年3月1日

軍艦の名前

大日本帝国海軍の軍艦名の話である。

 この稿の筆者は、第二次世界大戦が終わってから七年ほどして生まれた。小学生の頃は、近所の男の子は、誰でも文房具屋や玩具屋でプラモデルを買ってきて作ったものだ。

 筆者が初めて作ったのは戦艦「霧島」、その後が航空戦艦「日向」であったか。戦艦のプラモデルは、ゼロ戦や隼など飛行機に比べると値段が高かった。一ヶ月分のお小遣いより高かったのではないか。当時は、まだ巷間には白い衣服の傷痍軍人が溢れ、戦犯にならなかった提督や将軍たちも、町内のオジイサンという感じで身近に生き残っていた。要約して言えば、我々の世代は、大日本帝国海軍も陸軍も、現代のオタクな少年たちより遙かに身近に感じることが出来た世代なのだ。

 その時代、筆者は第二次世界大戦期の連合艦隊の軍艦名を、殆ど全て暗記していた。(今でも、戦艦、重巡洋艦くらいは、ソラで言える)そして思ったことは、陸軍が何かと命名に「勇ましい」文字を付けたがるのに対して、海軍の軍艦名は、とても優しく美しいということであった。英語でも、船を指すときには、she、その船のという所有格にはherという文字を用いる。船は女性であり、船乗りの男たちが身を託す存在と言うことなのだろう。

 さて、以上で結論を書いてしまったので、興味のない方は、この先はお読みいただかなくてかまわないのだが・・まず帝国海軍の軍艦名は「大日本帝國海軍艦艇の命名基準」(明治38年8月1日制定)~日露戦争の直後~以降体系的なルールに則っている。だから「三笠」だとか「朝日」だとかいう日本海海戦に登場する戦艦たちはこの基準に則っていない。

 【戦艦】国の名前 大和、武蔵、長門、陸奥、扶桑、山城、伊勢、日向(他に巡洋戦艦と言って、巡洋艦から改装後格上げになったのが、金剛、榛名、比叡、霧島) 【重巡洋艦】山の名前 青葉、古鷹、加古、衣笠、妙高、足柄、羽黒、那智、鳥海、高雄、愛宕、摩耶(軽巡洋艦から備砲の規格変更で格上げになったのが、最上、三隈、鈴谷、熊野、利根、筑摩) 【軽巡洋艦】川の名前 球磨、多摩、北上、大井、木曾、長良、五十鈴、阿武隈、名取、由良、鬼怒、川内、神通、那珂、夕張、阿賀野、能代、矢作、酒匂、大淀  秀逸なのが【一等駆逐艦】天文事象(たくさんあるので代表的なところだけ) 吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲、磯波、浦波、綾波、敷波、朝霧、夕霧、天霧、狭霧、朧、曙、漣、潮、暁、響、雷、電、陽炎、不知火、黒潮、親潮、早潮、夏潮、初風、雪風、天津風、時津風、浦風、磯風、浜風、谷風、野分、嵐、萩風、舞風、秋雲、夕雲、巻雲、風雲、長波、巻波、高波、大波、清波、玉波、涼波、藤波、早波、浜波、沖波、岸波、朝霜、早霜、秋霜、清霜 【二等駆逐艦】木草 樅、榧、楡、栗、梨、竹、柿、栂、菊、葵、萩、薄、藤、蔦、葦、菱、蓮、菫、蓬、蕨、蓼 ~駆逐艦名を見ていると何だか俳句の歳時記を読むような思いがする。

 空母、潜水母艦、海防艦なども佳名がたくさんあるが、紙数が尽きるので省略する。

 最近、自衛隊の護衛艦(いずも、かが、いせ、ひゅうが、みょうこう、こんごう、はるな、きりしま等)の名前が旧海軍を踏襲していることに、近隣の国々から抗議の声が上がっていると聞く。が、上記の艦名の由来を見れば、命名の企図が平和なものであることは理解いただけるはずだ。