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え〜っと通信

12号

2002年1月1日

登坂 純一

税務職員の誤指導とその対応策について

昨年の6月22日に新規の法令解釈通達が発遣され、税務職員の誤指導により修正申告をした場合や更正処分を受けた場合の延滞税免除の取扱いが明らかになりました。しかし、本税についての納税義務はなくなりません。なにか対策はないものでしょうか?


1.国税庁の職員が書いた書籍について

ちょっと大きな書店の税金関係のコーナーを見てみると、財団法人大蔵財務協会が発行した書籍が多数並んでいます。現役の税務職員が執筆をしていることから(例えば東京国税局法人税課長○○○○編)、実務家のあいだでは税務当局の見解と同一視されていました。しかし、これらの書籍は税務職員の個人的見解となっています。役職名が表示されていたため紛らわしいことから、最近は役職名を表示せず、直接個人名○○○○とだけ表示されているようです。くれぐれもこれらの書籍については、過信は禁物です。


2.国税庁が事前照会の回答文書をホームページで公開

税務職員が書いた書籍が税務当局の公的見解に当たらないとしたら、税務の取扱いについて大きな問題がある場合、どのように対応したらよいのでしょうか。その一つの方法が、国税庁に対する事前照会です。昨年の4月に情報公開法が施行されました。その影響もあるのでしょう。国税庁が事前照会等に対し多数の納税者からの照会があると予想されるものについては、文書回答の内容を国税庁のホームページで公表することになりました。
現在ホームページ上で、土地信託に関する三井不動産㈱の回答例が公開されています。


3.事前照会に対する文書回答について

税務職員に口頭での相談は、後に言った言わないの問題が生じる可能性があります。そこで、税務上の取扱いに関する事前照会に対して文書による回答を請求することができます。(手続きについては、税務署にパンフレットがございますので、そちらをご覧ください。また、国税庁のホームページにも掲載されています。)


最後に一言!

税務の取扱いについては、信頼のできる税理士に相談するのが一番ですが、税務署に電話したり直接行ったりして相談することもあるかもしれません。文書による回答が一番安心できますが、手間や時間がかかるため相談は口頭になることも多いでしょう。せめて、その際は税務署に相談した日時、担当者名、相談内容についてできるだけ詳細に記録することをお勧めします。ところで、最近の税務調査は昔と比べて甘くなっているという話を聞いたことがあります。その原因の一つに、税制が年々複雑になっているため、その取扱いについての相談も年々増加し、税務職員がその対応に追われることから調査(準備)が手薄になるというものでした。税務の取扱いについての相談は、年々手厚くなってほしいものですが、いかがなものでしょうか……。

※執筆時点の法令に基づいております