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え~っと通信 204号

相続が争族になったとしたら
2グループに分かれて申告する場合の問題点

    (2018年4月13日更新)   執筆者:市原 一徳

  rire204  亡くなられた方は、家族がいつまでも仲良く、協力して残された配偶者の面倒を見てほしい。また、遺産も争うことなくスムーズに分割してほしいと思っているのではないでしょうか。
 しかし、そうはいかないことが多いのが相続です。特に、被相続人が再婚をしているため、先妻の子と後妻の子が争うようなケースでは、Aグループ(先妻の子)とBグループ(後妻の子)で、それぞれ別々の相続税申告書を提出するといったこともあります。そこで、今回は、相続人間に争いがあり、2グループに分かれて相続税の申告を行う場合の問題点について取り上げることとします。
 

 
   

1.押印がない申告書は有効か?

 相続人間に争いがあり、口も利かないような関係ですと、遺産分割協議も一向に進まず、未分割のまま相続税の申告書を作成、提出するといった事態が生じます。言うまでもなく、相続税の申告書には、記名・押印が必要です。
 もし、2グループに分かれて別々に申告することとなった場合、相手方グループの相続人の押印を受けることができないことになります。つまり、Aグループが作成した申告書には、Bグループの相続人の押印はなく、他方、Bグループが作成した申告書には、Aグループの相続人の押印はないといった状況です。結果として、一部押印のない2種類の申告書が提出されるのですが、それは有効な申告書として認められるのでしょうか。
 相続税の申告書は、通常は、相続人全員が共同して作成、提出するのですが、各相続人が個別に作成、提出することも認められているのです。個々の相続人は、自己のグループが作成した申告書に押印してあれば、一応、有効な申告書として取り扱われます。
 しかし、2グループに分かれて申告する場合は、次のとおり多くの問題が生じる点に注意が必要です。

2.2グループに分かれて申告する場合の問題点

(1) 財産内容が一致しない。
 被相続人と同居をしていたBグループは、遺産については、概ねその全貌が分かっていることでしょう。しかし、前妻の子であるAグループは、登記されている不動産などは別として、預貯金、有価証券などの財産の詳細は分からないのが通常です。その結果、Aグループの申告書に記載されている財産とBグループの申告書に記載されている財産が一致しないという問題が生じます。
(2) 財産の評価額が一致しない。
 被相続人が自宅敷地を所有していれば、それが相続財産となることは明らかですから、両グループの申告書に記載されます。
 土地は、路線価に基づき評価します。しかし、整形地は別として、不整形な土地であれば、一定の減額調整が必要となります。この調整は国税庁の取扱いに基づき行いますが、土地についての詳細な情報がないと、不整形地補正率なども算出できず、結果として最終評価額が一致しないことが多くあります。
 このようにABいずれのグループの申告書にも記載されている財産であっても、その評価額が一致しないという問題も生じることになります。
(3) 小規模宅地の評価減の特例が適用できない。
 ご自宅の敷地や事業用の敷地については、一定の要件のもと評価額を最大80%まで減額できる小規模宅地の特例があります。この特例は、分割協議が整っていない土地について適用することができません。また、仮に分割が決まったとしても、適用可能な土地が複数あるときにどの土地に適用するかは、土地を相続した相続人全員の同意が必要になります。すなわち、相続人間に争いがあるケースではこの減額特例の適用はかなり難しいものとならざるを得ないのです。

3.2種類の申告書は税務調査のターゲット

  相続財産が一致しておらず、また、財産の評価額も異なっている2種類の申告書が提出された税務署はどのように対処するのでしょうか。相続財産の範囲と評価額を確認するため、税務調査を行うことが考えられます。未分割での申告ですと、分割が確定してからの調査となるかもしれませんが、いずれにしても税務調査に選定される可能性は特段に高くなること間違いなしです。

4.税理士を有効活用しよう

 相続税の申告書は、不動産の評価をはじめとして、様々なルールに基づき作成するため、多くの場合、税理士に依頼することになります。グループに分かれて争うケースでは、両グループのいずれからも信頼されるような税理士がいるのであれば解決の糸口が見えてくるのかもしれません。しかし、一方のグループが依頼した税理士は、他方のグループからみると相手方に有利な助言をすると疑うのが通常で、中々うまくいかないものなのです。
 このような場合、グループごとに税理士を選定し、それぞれの税理士が税務の専門家として、上記2の問題点を含め、各グループの相続人の意見を踏まえた上で意見交換を行い、一定の妥協点を見つけて相続税の申告へと向かうのも一つの方法ではないでしょうか。
 長期間にわたる争いは、精神的にも肉体的にも堪えます。税理士選びも大切ですが、円満な財産分けをすることが、何より重要なのです。
 
 
     
 

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