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え〜っと通信

21号

2002年11月1日

竹内 三貴

あなたは「管理型」?それとも「所有型」?

今回は、『不動産管理会社』を設立する、というテーマでお話してみましょう。不動産管理会社とは言っても、ご自身がお持ちの不動産についてだけの仕事をする、いわゆる同族会社のことです。

不動産管理会社を設立することのメリットは、一言でいえば節税効果につながるということですが、さて、どのような節税効果があるのでしょう?


「管理型」と「所有型」

一口に不動産管理会社と言っても、管理会社には「管理型」と「所有型」の2種類があります。「管理型」とは、土地建物の所有者は個人のままで法人が管理のみを行い、管理手数料を個人から法人が受けるという形態です。又は個人から同族法人が一括で賃借し、それを法人が第三者に転貸する形態を言います。一方「所有型」とは、土地は個人所有のままで建物だけを法人所有とし、法人自身が建物オーナーとして第三者に賃貸する形態です。


「所有型」をお勧めします!

「管理型」では、管理手数料が経費となり、その部分が個人の所得から減少することに。「所有型」では法人が得た賃貸収入から役員報酬を他の親族に支払うことによって所得の分散を図ります。どちらも経費を増やしたり、所得を分散したりするわけですから節税効果はあります。しかし、これから法人設立を考えていらっしゃる方、「管理型」よりも「所有型」をお勧めします。

なぜなら「管理型」には問題点があるからです。それは個人が法人に支払う管理手数料です。以前は概ね賃貸収入又は法人一括貸の場合の転貸差額が20%までであれば税務上も問題がなかったのですが、昨今は税務署も厳しくなっています。実態としての管理業務があっての管理手数料と位置づけている傾向にあるようです。一方「所有型」を採用する場合、建物は法人が所有していますから「管理型」のように管理の実態ということで税務上お咎めがくることはありません。


借地権にご用心!

「所有型」は、建物を個人から法人に売買する際、借地権という問題が発生します。言うまでもなく、法人が個人の土地の上に建物を建てられるのは、法人に借地権が存在するためです。地主である個人と借地人である法人との間で借地権設定にあたって、税務上法人は個人に権利金を支払わなくてはなりません。仮に権利金を支払わないと、個人から法人へ支払うべき権利金相当額を免除されたとしてその免除された金額に対する法人税が課税されてしまいます(これを権利金の認定課税といいます)。
権利金の認定課税を回避する方法はあるのでしょうか?実は、2通りあります。1つは相当の地代(更地価格の6%)を毎年支払う方法ですが、地価下落の続く今日ではあまり意味がないのでここでは詳述しません。もう1つは無償返還の届出書を税務署に提出する方法です。書面を提出するだけで前述の権利金の認定課税は回避できるのです。書面一枚で概ね土地の更地価格の6割~8割の権利金を支払わなくてすむのです。知っていると知らないとでは大きな違いですよね。


専門家の知恵を拝借すべし!

個人の土地に法人の建物を建築することは、建物を新築する場合だけのことではありません。従来からお持ちの個人の建物を税負担なしに法人に移行する場合にも応用は可能です。ただし、法人税、相続税等すべてにかかわることなので、実行前には必ず専門家に相談されることをお勧めします。誌面の都合上すべてにわたって詳述できませんが、ご自分だけの判断ではつじつまが合わず、税務署からお目玉をくらい思わぬ税金を支払うことにもなりかねません。ここはやはり、「A.T.O」に相談でしょうか…。

※執筆時点の法令に基づいております