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え~っと通信 221号

貸付事業用宅地等の事例研究
~相続開始前3年以内に賃貸した土地の取扱い~

    (2019年9月13日更新)   執筆者:市原 一徳

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 相続税対策の一つとして不動産の購入が考えられます。賃貸用建物であれば固定資産税評価額の70%評価、その敷地について小規模宅地等(貸付事業用宅地等)の特例が適用されれば、アパート敷地による減額に加え、更に50%引きになります。現金1億円で賃貸マンション等を購入すれば評価額が3分の1以下になることもあり、相続開始を見据えて、その直前に賃貸不動産を購入する事例が増加しているようです。そのようなこともあり、貸付事業用宅地等の範囲が改正されています。相続開始前3年以内に新たに貸付けを開始したものは、原則として貸付事業用宅地等

 
から除かれることになったのです。ただ、3年以内に貸付けを開始したものの全てが除外されるかというとそうではありません。そこで、今回は事例を交えて、貸付事業用宅地等の適用について考えてみましょう。

 
   

1.現行制度の概要

 事例に入る前に、現行制度についておさらいしましょう。 
 貸付事業用宅地等とは、相続開始の直前において、被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等(賃貸アパートや貸駐車場の敷地など)のことで、200㎡までの部分について50%評価減が可能です。適用要件としては、相続税の申告期限までに貸付事業を承継し、かつ、その申告期限までその貸付事業を継続し、その宅地等を保有することです。上記でも述べましたが、相続開始前3年以内に新たに貸付けを開始したものは、原則として貸付事業用宅地等の範囲から除かれます。ただし、被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合には、3年以内に貸付けを開始した物件でも特例の対象になります。つまり、従前からの不動産賃貸が、事業としての性格を有する事業的規模の場合は、相続開始の直前に新たに貸付けを開始した物件もその事業の一環として捉え、貸付事業用宅地等の適用を認めようとするものです。ちなみに事業的規模とは、所得税と同じで、戸建なら5棟、アパート等なら10室以上と言う基準での、いわゆる「5棟10室基準」の要件を満たすものとされています。「3年」というキーワードが、「宅地等の貸付事業供用期間」と「貸付事業が事業的規模である期間」の2つに掛かっていて複雑です。そこで、相続開始前3年以内に貸付けたものと3年を超えて貸付けているものがあるケースについて検討します。

2.事例研究

<事例>
 被相続人は、アパートAとその敷地、アパートBとその敷地を所有していました。アパートAは、相続開始5年前から貸付けの用に供していますが、アパートBは相続開始2年前からです。各アパートの室数が下記(1)から(3)の場合に、貸付事業用宅地等の対象はどのようになるのでしょうか。
(1)アパートA: 4室
(2)アパートA: 5室
(3)アパートA:12室
アパートB: 2室
アパートB:12室
アパートB: 5室





<回答>
 (1)と(2)については、アパートAの敷地のみが貸付事業用宅地等の対象になります。
 (3)については、全ての敷地が貸付事業用宅地等の対象になります。

<検討>
 (1)のケース
 相続開始時の貸付室数は6室(アパートA4室とアパートB2室)のため、事業的規模に該当しません。そのため、相続開始5年前から貸付けの用に供しているアパートAの敷地のみが、貸付事業用宅地等の対象となります。アパートBの敷地は相続開始2年前に新たに貸付事業の用に供した宅地等ですので、その対象になりません。





 (2)のケース
 相続開始時の貸付室数は17室(アパートA5室とアパートB12室)のため、事業的規模に該当します。しかし、アパートBは、相続開始前2年前に新たに貸付事業の用に供しています。そのため、「被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合」に該当せず、アパートBは12室あったとしても、その敷地は貸付事業用宅地等の対象になりません。アパートAの敷地は、上記(1)に記載したとおり、貸付事業用宅地等の対象になります。







 (3)のケース
 上記(2)のケースと同様に相続開始時の貸付室数は17室(アパートA12室とアパートB5室)のため、事業的規模に該当します。(2)のケースとの違いは、12室のアパートAは相続開始5年前から貸付事業の用に供しており、「被相続人が相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている場合」に該当します。そのため、貸付期間3年未満のアパートBの敷地を含め、全ての敷地が貸付事業用宅地等の対象になります。


3.まとめ

 相続開始前3年以内に新たに貸付けを開始した宅地等に対する小規模宅地等の適用は、被相続人の貸付規模とその継続期間が判定のポイントになります。
 なお、令和3年3月31日までに開始された相続で、貸付開始が平成30年3月31日以前のものは、貸付期間にかかわらず、貸付事業用宅地等の対象になるという経過措置が設けられていますので注意が必要です。
 
 
     
 

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