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え~っと通信 223号

配偶者居住権の税務上の取扱い
~みなし贈与との関係~

    (2019年11月15日更新)   執筆者:金井 悠深恵

  rire223  40年ぶりの民法改正により配偶者居住権が創設され、来年4月から適用されます。この配偶者居住権に関し、え~っと通信2019年6月号で、小規模宅地等の特例の適用関係についてご案内させて頂きました。この度、令和元年7月2日付で、国税庁から配偶者居住権が合意解除等により消滅した場合の取扱いに関する通達が公表されましたので、今回は、この配偶者居住権の税務上の取扱いについてご案内いたします。
 

 
   

1.配偶者居住権の評価について

 配偶者居住権とは、相続発生時に、被相続人が所有していた建物に居住していた配偶者が、終身又は一定期間、その建物を使用できる権利のことをいいます。その相続税評価額の計算式は、下記のとおりです。  
(1) 配偶者居住権が設定された建物の評価
(2) 配偶者居住権
建物の時価-上記(1)
(3) 敷地所有権
土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率
(4) 配偶者居住権に基づく敷地利用権
土地等の時価-上記(3)

 遺産分割等により取得した配偶者居住権(上記(2)及び(4))は、相続税の計算上、当該配偶者の相続財産として計上することになります。取得したのち、これらの権利の価額は、期間の満了に向けて、時間の経過とともに逓減します。
※ 建物の残存耐用年数は、法定耐用年数の1.5倍から建築後経過年数を控除した年数とする。
※ 配偶者居住権の存続年数は、終身の場合は完全生命表による配偶者の平均余命年数とする。

2.配偶者居住権の消滅による課税関係

(1)配偶者居住権を取得した配偶者が亡くなった場合
   亡くなった配偶者が有していた配偶者居住権は、民法の規定により消滅します。すなわち、配偶者の相続財産にはなりません。これは、配偶者居住権が設定されたご自宅を取得した子からすると、一次相続では配偶者居住権を除いた価額により相続したものが、その後の配偶者の死亡により、追加の税負担なしに完全所有権が復元されることになります。
(2)配偶者居住権を合意解除する場合
   配偶者居住権が設定されたご自宅を譲渡する場合を考えてみます。この場合、配偶者は、所有権を持つ子との合意により、配偶者居住権を解除する必要があります。配偶者居住権は、あくまでご自宅を使用収益する配偶者固有の権利であるため、譲渡の対象とはならないからです。合意解除をすると、配偶者から子へ使用収益権が移転するため、みなし贈与として贈与税が課税されます。つまり、相続人で示し合わせて、一次相続で配偶者居住権を設定し、ご自宅の評価額を一時的に下げても、後々合意解除する場合は、その時点で課税されてしまうということです。配偶者居住権を放棄した場合や、配偶者の用法違反により、配偶者居住権が消滅した場合も同様にみなし贈与に該当します。
 このみなし贈与課税を防ぐためには、解除による消滅直前の配偶者居住権相当額を、子が配偶者に支払う必要があります。ご自宅を譲渡する場合、譲渡所得の計算上、配偶者に支払った配偶者居住権相当額をどう取り扱うのか、また、支払を受けた配偶者の課税関係はどうなるか等、今後も注目していく必要があります。

3.必要費の負担

 必要費とは、物の保存または管理に必要な費用のことをいいます。配偶者居住権が設定された建物に修繕が必要となった場合、使用収益している配偶者が修繕費を支払う必要があります。固定資産税についても配偶者が負担すべき費用と考えられます。いずれも、配偶者が支払わない場合は、一旦所有者である子が立替え、その後配偶者に請求することになります。必要費の負担については、事前に話し合っておくことが大切です。

4.配偶者居住権は設定すべきか

 配偶者が認知症になり、老人ホームに入るためご自宅を売却するような場合、認知症になった後に配偶者居住権の解除が可能なのか、という問題が生じます。また、配偶者居住権が設定されたご自宅を借入の担保にする場合、銀行側がどう判断するか、という疑問もあります。遺産分割による配偶者居住権の設定は、相続の際の一つの選択肢ですが、先々まで見通した上で、慎重な判断が必要となります。  
 
 
     
 

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