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え~っと通信 229号

当初申告要件について
~あとで後悔しないために知っておこう~

    (2020年5月15日更新)   執筆者:平松 敦之

  rire229  「当初申告要件とは?」と聞いてすぐに内容がイメージできるでしょうか。税額軽減措置などの制度の適用を受けるためには、当初の申告において「制度の適用を受ける旨の意思表示」を要求する規定です。意思表示とは申告書への適用額等の記載および書類の添付をすることです。これを失念すると、あとで適用を受けたい場合や選択を変更したくても手遅れとなります。大変注意が必要な規定ですが正しく理解されていないケースが見受けられます。当初申告要件は、納税をする方にとって非常に厳しいこともあり、平成23年度の税制改正で、廃止されたものも結構あります。しかし、未だ存続しているものもありますので、今回は、その主なものを取りあげています。
 

 
   

1.更正の請求について

 以下に掲げる特例措置を確認するにあたり、まずは更正の請求について触れておきます。更正の請求は、本来納める税金より多く申告していた場合などに行うものです。これは、いったん提出した確定申告書等の内容を申告期限が過ぎてから手直しする手続きなのです。払い過ぎた税金が還付されるなど、間違い等があった場合の救済措置といえます。しかし、これは当初申告要件のある特例措置の適用を求めることはできない点に注意が必要です。

2.住宅借入金等特別控除

 住宅ローンの利用でマイホームを購入した際の特別控除の適用を受けるには、所定の計算明細書や必要書類を添付して確定申告をする必要があります。たとえば、確定申告をしなければならない方が、申告後に住宅借入金等特別控除を失念したことに気付いたとします。申告期限内であれば訂正申告を提出できますが、期限後ですと税務署がやむを得ない事情があると認める場合を除き手遅れになります。この制度の適用は、申告書への記載等が要件とされているからです。ただし、住宅借入金等特別控除は、10年間(又は13年間)控除できるものですから、翌年の申告書に記載等をすれば、残りの期間に限り適用することはできます。

3.居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除

 マイホームを売却した場合、譲渡所得から3000万円を控除できる特例で、未だ当初申告要件が残っています。この特例は他の特例との重複適用ができないケースが多くあります。例えば住宅借入金等特別控除や居住用財産の買換え特例(課税時期の延期)などが該当し、どちらが有利かは売却益の額、資金計画等により異なるため、一概には決まらない場合もあるでしょう。選択をし直す申告が認められないため、どの特例を適用するかの意思決定の際には綿密なシミュレーションが必要となります。

4.小規模宅地等の減額の特例

 最も気を付けるべき特例措置です。この特例は相続財産のうち居住用や貸付用の宅地などの評価額について、一定要件のもと最大で8割減額できる規定です。たとえば、相続財産のうち要件を満たす宅地が複数あるとします。どの宅地について特例を受けるかは納税者の選択、つまり意思表示により決まります。これには要件を満たす宅地を取得できるすべての相続人の同意が必要となります。そこで、有利選択が必要となりますが、先述の特別控除よりもかなり煩雑です。この特例は居住用、貸付用などの用途に応じ適用面積と減額率が異なるためです。では、どのように選択するのでしょうか。一般には、最も評価額(減額効果)の高い組み合わせを選択しがちです。しかし、配偶者に限って認められる税額軽減制度を併せて適用する場合は、小規模宅地等の減額効果の最大値(相続税の総額の最小値)が必ずしも有利とは限りません。選択に当たっては、遺言があれば、配偶者の税額軽減額と相続人各人の小規模宅地等の適用額の減額効果を比較検討します。一方、遺産分割協議の場合には、さらに配偶者の財産の取得割合や二次相続に係る相続税額を考慮する必要があるため検討に相応の時間を要します。特に適用できる宅地の数が多い場合は組み合わせも増えるため、納得がいくまで考えてから選択することが重要です。

5.期限内申告要件との違いについて

 「当初申告要件」と「期限内申告要件」は混同されがちなので少し整理をします。期限内申告要件は文字通り期限内での申告を要件とするものです。青色申告に認められる65万円特別控除が代表例です。一方、当初申告要件は当初の申告を要件とします。この「当初」とは「最初」を意味するものであり「期限内」に限られるものではありません。つまり当初の申告であっても期限後の申告となることもあります。たとえば、先述の居住用財産を譲渡した場合の特別控除は、一定の要件を満たせば期限後の申告でも適用を受けられます。

6.最後に・・・

 特例措置は適用要件の判定だけでも複雑であり、さらに当初申告要件が加わると非常に実務家泣かせになります。不動産を売買した場合や相続発生の際は、時間的に余裕をもって税理士等に相談することをおすすめします。状況の把握や検討資料の作成など申告に至るまで多くの時間を要すことがあるためです。申告内容の説明の際に、諸条件や時間軸ごとの最少税額などの検討資料が提示されるはずです。ただし最後に「選択」するのは納税をする方本人です。後になって悔やむことのないよう熟慮断行が必要となります。
 
 
     
 

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