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え~っと通信 239号

新・事業承継税制は使えるのか

    (2021年3月15日更新)   執筆者:平松 敦之

  rire239  中小企業の事業承継は我が国の喫緊の課題です。経営者の高齢化は急速に進んでいます。対策なしでは今後多くの雇用が失われ、GDPも減少すると試算されています。経営者や後継者にとって事業承継にかかる税金は不安がつきまといます。これに対処するために現在は事業承継税制が設けられています。当初は使い勝手が悪く適用実績は乏しい状況でした。これを踏まえ平成30年度税制改正により、従来の一般措置を抜本的に拡充した時限的な特例措置が創設されました。ようやくこの制度の活用を真剣に検討すべき時が来たと言ってもいいでしょう。今回はこの新・事業承継税制(特例措置)について、生前に計画的に譲ることとなる「贈与」に絞って見ていきます。
 

 
   

1.制度の概要(特例措置)

 贈与税の納税猶予制度とは、後継者が贈与により先代経営者等から取得した株式に係る贈与税が全て納税猶予される制度です。この適用を受けるには、令和5年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県庁に提出し、「円滑化法の認定」を受け、5年の間(特例承継期間)一定の事業を継続する必要があります。活用したい場合には計画書の提出まで現時点から2年ほどしか期間がない時限措置のため、早めに行動に移す必要があります。なお、特例承継計画に基づき実際に対象となる贈与ができるのは、令和9年12月31日までとなっています。

2.適用要件について

 特例措置の適用を受けるための主な要件は以下のとおりです。
(1)会社に関する要件
   次のいずれにも該当しないこと
   ・上場会社
   ・中小企業者に該当しない会社
   ・資産管理会社(一定の要件を満たすものを除く。)
   ・総収入金額が零の会社、従業員数が零の会社
(2)後継者に関する要件
   贈与時において次の要件のすべてを満たすこと
   ・20歳以上であり、会社の代表権を有していること
   ・役員の就任から3年以上を経過していること
   ・後継者およびその親族等で総議決権数の50%超の議決権数を保有すること
   ・後継者がその親族等の中で筆頭株主となること
(3)先代経営者に関する要件
   次の要件のすべてを満たすこと
   ・会社の代表権を有していたこと
   ・贈与の直前で、贈与者およびその親族等で総議決権の50%超の議決権数を保有し、
    かつこれらの者の中で筆頭株主(後継者を除く)であったこと
   ・贈与時に代表者を退任していること

3.資産管理会社に該当した場合

 資産管理会社には(1)「資産保有型会社」と(2)「資産運用会社」の2種類があります。(1)は特定資産(有価証券や自ら使用していない不動産など)が、貸借対照表の総資産の70%以上を占めている会社です。一方、(2)は売上に占める特定資産の運用収入が75%以上の会社となります。不動産賃貸業などの場合は、第三者に賃貸している不動産も特定資産となるため、資産管理会社に該当するケースが多いと思われます。この場合、前述のとおり原則として適用除外となりますが次の3要件を満たせば利用可能です。
 (ア)常勤の従業員が5名以上であること
 (イ)固定施設を所有又は賃貸していること
 (ウ)事業活動を3年以上継続して行っていること
 このうち、(イ)と(ウ)については不動産等の貸付業も対象なので実態のある会社であればハードルが低そうです。問題は(ア)の人数要件で、後継者及びその同一生計親族を除いて5人以上です。しかも一時点でも5人を下回ってはならないため、常に6人以上を確保しておく必要がありそうです。

4.特例措置適用における注意点

 制度の適用にあたり、主に以下の点に留意が必要です。
(1)一括贈与要件
   贈与時に保有する自社株式の一定数以上を一括して贈与する必要があります。
(2)担保提供
   猶予税額に見合った担保の提供が必要となります。基本的に自社株を担保としますが、株券発行会社である場合は、株券の供託など非常に手続きが煩雑になるため定款を株券不発行会社に変更することをお勧めします。
(3)申告期限後の事務手続き
  (a) 5年間(毎年) ・年次報告書の作成及び都道府県庁への提出
・継続届出書の作成及び税務署への提出
  (b) 5年経過後(3年に1回) ・継続届出書の作成及び税務署への提出
(4)納税猶予が取り消された場合
   従業員要件を満たせなくなったこと、その他一定の取消事由に該当した場合には、原則として猶予されていた税金とその利子を支払う必要があります。

5.最後に

 一般措置では対象株式が3分の2までであり、80%の納税猶予でした。それが特例措置は全株につき100%納税猶予となりました。贈与税の支払いなしに生前の事業承継が実現可能となったことは特筆すべきことです。導入時の入口要件は緩和されましたが、要件の継続と事業承継時である出口について十分な検討が必要です。様々な検討項目がありメリットとデメリットを天秤にかけることも大事です。しかし一番重要なのは後継者の事業を承継する「意思」ではないでしょうか。その意思があれば、まずは納税猶予額を試算することをお勧めします。特に(1)株価が高い(2)事業を後継者に継がせたい(3)納税資金が厳しい、などに該当するようであれば事業承継税制の特例措置の利用を熟思すべきです。
 
 
     
 

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