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え~っと通信 241号

居住用賃貸建物に係る消費税の取扱い
~令和2年度改正の重要ポイントの確認~

    (2021年5月14日更新)   執筆者:大貫 貴博

  rire241  居住用の賃貸建物の建築又は購入の際に支払った消費税については、これまでその還付を受ける方法がありました。しかし、令和2年度の税制改正により、令和2年10月以後の居住用の賃貸建物の取得に係る消費税については、原則として、全く還付を受けられないこととなりました。
 今回はその改正の経緯・内容と注意点について説明いたします。
 

 
   

1.消費税の仕組み

(1)原則的な方法
 支払った消費税の還付を受けるためには、「預かり消費税」より「支払った消費税」が多い必要があります。ただし、支払った消費税のすべてが、消費税の計算で控除できるわけではありません。居住用の賃貸建物の取得の際に、建物の本体価格に対して消費税が課される一方、その賃貸建物に係る住宅家賃収入は消費税が非課税です。預かり消費税がないと支払った消費税の控除はできないというのが消費税の基本的スタンスです。したがって、居住用の賃貸建物に係る消費税は、還付を受けられないのが原則です。
(2)そこで使われた特例 〜一括比例配分方式〜
 消費税の控除に関し「一括比例配分方式」の特例があります。これは、支払った消費税の全額に、売上全体に対して消費税が掛かる売上が占める割合(課税売上割合)を乗じた額の消費税を控除するものです。これを選択すると、本来の原則計算では控除できない消費税でも、この特例により控除できる場合があります。飲料水等の自動販売機を設置し課税売上割合を増加させる方法も知られていますが、最近は金の取引に消費税が課されることに着目して、金の売買を繰り返して課税売上割合を増加させ、消費税の還付額を増やす方法が盛んに行われたこともあり、問題視されていました。

2.居住用賃貸建物に係る令和2年度改正

 これまでの度々の税制改正で、消費税の還付スキームの封じ込めが図られてきました。しかし、いたちごっこが続いたこともあってか、そもそも居住用賃貸建物に係る消費税は、そのすべてが控除できないように改正されたのです。

3.居住用賃貸建物とは

 消費税の控除ができなくなった「居住用賃貸建物」とは、次の(a)と(b)のいずれにも該当する建物をいいます。
 (a) 住宅の貸付けの用に供する建物(その附属設備を含みます。)(※1)
 (b) 一つの取引単位につき、消費税抜きの本体価額が1,000万円以上
(※1 全てが店舗である建物などその構造や設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物は除かれます。)

4.店舗併用住宅の取扱い

 店舗併用住宅の場合は、いくつかの注意が必要です。基本的には店舗部分に係る消費税については、従前のとおり還付の対象になります。住宅部分に係る消費税については、還付の対象になりません。店舗部分の消費税の還付を受けるための注意点としては、建設(購入)価額を店舗部分と住宅部分に合理的に区分する必要があります。例えば、1平方メートル当たりの建築価額に大きな差がなければ、建設(購入)価額を店舗部分の床面積と住宅部分の床面積で按分するなどの方法が考えられます。なお、按分したことによって、住宅部分の本体価額が1,000万円を下回ったとしても、建物全体の価額が1,000万円以上の場合は、居住用賃貸建物とされますのでご注意ください。

5.消費税の控除ができるケース

 居住用賃貸建物の取得のための支払いであっても、消費税の控除対象となるものがあります。
(1)建物価額以外の付随費用
 居住用賃貸建物を購入する際に支払った仲介手数料は、建物の取得価額を構成します。しかし、居住用賃貸建物として消費税控除の対象とならないものは、あくまで建物本体に係る消費税に限られますから、仲介手数料などの付随費用に係る消費税は控除の対象となります。
(2)居住用賃貸建物に対して修繕をした場合
 修繕のための支払いに係る消費税は、居住用賃貸建物に対するものでも控除の対象となります。ただし、資本的支出とされる金額が1,000万円以上となると、居住用賃貸建物の取得として取り扱われますから、控除の対象となりません。
(3)3年以内の用途変更や譲渡をした場合
 居住用賃貸建物の取得後3年以内に、その全部又は一部を店舗や事務所の貸付けへと変更した場合や、その居住用賃貸建物を譲渡した場合は、当初の取得時に支払った消費税の一部について、一定の調整計算により控除の対象とする措置が設けられています。

6.まとめ

 消費税の控除ができなくなると、納付する消費税が増加します。取引について消費税込みの金額で経理している場合(税込経理方式)、納付する消費税は、所得税や法人税において経費として計上できます。そのため、例えば、個人の場合は、増加した消費税額に、所得税の減税効果(1-所得税率)を乗じた金額が、実際の負担増加額となります。
 居住用賃貸建物の取得時に支払う消費税でも控除対象になるものもあります。建築や購入の際の支出については、その支払明細書や領収書を保管し、少しでも多くの消費税が控除できるように備えることが必要です。
 
 
     
 

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