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え〜っと通信

6号

2001年6月19日

登坂 純一

消費税にご用心!

1.知らぬ間に納税義務者?

不動産を所有する個人の方が、本人が気づかずに消費税の納税義務者となることがあります。個人が所有する賃貸用建物を譲渡する場合です。今まで、個人の確定申告で不動産所得の申告をしていた方が、その所有する賃貸用建物を譲渡した場合の消費税について、以下ご説明いたします。


2.個人が法人に建物を譲渡した場合

税務の世界では、個人が不動産所得として申告している建物を譲渡した場合に、譲渡した建物代金に消費税が含まれているものと考えます。例えば、1,000万円の駐車場収入(消費税込)以外に消費税の対象となる収入がなく、売却代金が2,000万円を超える建物を譲渡した場合を考えてみましょう。建物の売却代金も消費税の対象となる収入となります。その結果、その譲渡した年の消費税の課税対象となる収入が3,000万円を超えることとなってしまいます。3,000万円を超えてしまう場合には、その翌々年に預かった消費税から支払った消費税の差額を納税しなければなりません。したがって、その翌々年に消費税の申告が必要となります。今までは、消費税の対象となる収入が3,000万円以下であったので消費税を納付する必要がなかったにもかかわらず、です。その対策として、消費税を納めなければならない年に、簡易課税という厳密な計算をしない方法を選択する方法があります。また、翌々年に店舗用建物を取得するなどの多額の設備投資の予定がある場合には、上記の簡易課税を選択しないで、建物分の消費税の一部を還付させる方法もあります。


3.税務署の目

税務署では、建物の譲渡所得に対する所得税については、資産税部門が担当します。不動産所得に対する所得税については、所得税部門が担当します。そして、消費税については、両所得ともに所得税部門が担当となります。このため、譲渡に係る消費税について、チェックがあまく、消費税申告書が送られてこない、といったこともあるようです。


4.専門家を使って節税を!

消費税の納税義務者になるかどうかは、事前に判断できます。専門家のアドバイスを守り、計画的に対策を進めることが重要でしょう。利益に対して課税される所得税などとは違って、案外軽視されがちな消費税です。しかし、対策のあるとなしとで意外と差が出るのも消費税なのです。

※執筆時点の法令に基づいております