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Vol.61 贈与税の配偶者控除にも工夫が必要です。
      〜贈与税の配偶者控除の 概要と他税目への影響〜

平成18年6月15日 執筆者:弘田 貴郎 税理士法人 エー・ティー・オー財産相談室
 税務上の特例の中でも皆様よく耳にする『贈与税の配偶者控除』、単に2,000万円までは税金がかからない制度、と安易に考えられている方はたくさんいらっしゃるようです。しかしながら、税金がかからないのはあくまで贈与税の話であり、贈与の仕方では思わぬ税負担が・・・というお話です。

1.制度の概要

  通常、土地建物の持分を贈与すると贈与税の対象となります。ただし、下記の要件を満たす贈与であれば、贈与により取得した財産の価格から2,000万円を控除することができます。
   @ 婚姻期間が20年以上である配偶者への贈与であること。
   A 贈与される財産は、国内にある居住の用に供される建物・土地・借地権であること。
   B 贈与を受けた配偶者がAの財産を取得したあと、申告期限までに居住の用に供し、かつ、
    その後引き続き居住の用に供する見込みであること。

  また、上記Aに掲げる財産を取得するための金銭の贈与についても配偶者控除を利用することができます。

2.アパート兼住宅を贈与した場合

 例えば1階が自宅、2階がアパートの土地建物の持分を贈与するとします。あくまで対象となるのは専ら自己の居住の用に供される部分のみで、2階のアパート部分は対象とはなりません。ただし、専ら自己の居住の用に供される部分とそうでない部分がある場合には、次の二種類の計算方法が認められています。
    @ 持分に応じて計算する方法
    A まず、居住の用に供されている部分から贈与があったものとして計算する方法

  文章では分かりにくいので、具体例をあげて説明します。

■具体例
  建物の相続税評価額の基礎となる価額 2,000万円 
  土地の相続税評価額の基礎となる価額 3,000万円
  借地権割合 60%
  借家権割合 30%
  貸付割合 50%
  土地建物の持分1/3を配偶者に贈与

 
個別の評価額は下記の通りとなります。
  相続税評価額の
基礎となる価額 
自宅部分@ 貸付部分A 合 計
(相続税評価額)B
家屋
20,000,000
10,000,000
7,000,000
17,000,000
土地
30,000,000
15,000,000
12,300,000
27,300,000
合計 50,000,000 25,000,000 19,300,000
44,300,000
  注) 家屋(自宅部分) 2,000万円×50%=1,000万円
家屋(貸付部分) 2,000万円×50%×(1−0.3)=700万円
土地(自宅部分) 3,000万円×50%=1,500万円
土地(貸付部分) 3,000万円×50%×(1−0.6×0.3)=1,230万円

@の方法により贈与税の課税価格を計算した場合の贈与税額

  配偶者控除額の
控除限度額 
25,000,000(自宅部分)×1/3=8,333,333<20,000,000  ∴8,333,333
  課税価格  44,300,000×1/3−8,333,333―1,100,000=5.333.000(千円未満切捨)
  贈与税額 5,333,000×30%−650,000=949,900

Aの方法により贈与税の課税価格を計算した場合の贈与税額
1/2(自宅部分)>1/3(贈与持分) ∴すべて自宅部分の贈与を受けたこととなる

  配偶者控除額の
控除限度額
50,000,000×1/3(自宅部分)=16,666,666<20,000,000 ∴16,666,666
  課税価格 50,000,000×1/3−16,666,666=0  ∴0

  以上、2つの認められた計算方法でも選択によっては贈与税額で約100万円の差が生じますが、実務上はAにより計算します。ただし、@により計算したとしても間違いとはなりませんので、計算方法を知っているかいないかによって、税負担に大きな差が生じます。

3.貸家部分の収入は?

 上記2.Aの方法による計算方法は、あくまで、贈与税の配偶者控除の対象となる居住用不動産の判定に際して、納税者に有利となるように設けられた計算方法です。いわば贈与税の配偶者控除に限定した特例措置であり、他の税法に影響を与えるものではありません。したがって、上記2.の具体例の場合、貸アパート部分の収入については、贈与後の持分(登記簿上の持分)のとおり、つまり、贈与者が2/3、配偶者が1/3の割合で収入を分配することとなります。

4. 小規模宅地等の相続税の課税価格の計算の特例への影響

 上記3.と同じ理由により、相続税を計算する場合の土地建物の評価には影響を与えません。したがって、上記2.具体例の場合、相続開始時点において贈与時と利用形態に変更がない限り、贈与者は相続の際には自宅を2/3、貸家を2/3所有していたこととなります。そのため、将来の相続時には240uまでの面積部分が80%引きになる特定居住用宅地等を有していたという有利な取扱いを受けられることとなります。また、仮に自宅割合よりも贈与割合が多かった(例;自宅割合1/2、贈与割合2/3)として贈与税の配偶者控除の適用の際に自宅部分すべてを贈与したものとして計算していたとしても、同様の考え方が可能です。つまり、相続開始の直前においては、贈与者は自宅を1/3、貸家を1/3所有していたこととなり、やはり特例の対象となる特定居住用宅地等を有していたこととなります。

5.贈与財産は、土地のみでも大丈夫?

 贈与税の配偶者控除の適用を受ける財産は、土地のみ、建物のみでも対象となります。しかし贈与する財産の組み合わせによっては、後々別の優遇措置を受けることができなくなる可能性があります。
  たとえば居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除。詳しい説明は割愛しますが、この特例は、居住用の家屋を譲渡した場合に適用されます。土地のみの譲渡では原則的に適用を受けることはできません。しかしながら、贈与税の配偶者控除を受ける際に、土地とあわせて建物の持分も贈与しておけば、後々居住用財産を譲渡した場合に3,000万円の特別控除の適用を受けることができます。この特別控除の特例は、居住用の建物に係る特例だからです。
  また、贈与税は課税されなくても不動産取得税は課税されます。不動産取得税についても、要件を満たせば一定の税額が軽減されます。ただし、所定の要件を満たす建物とその敷地の取得が対象となるため、土地のみの贈与では対象とはなりません。
   
  この制度、一人の配偶者に対し一生に一度しか適用できません。贈与の仕方については、思いがけない税負担を回避させるためにも検討が必要ですし、そのための工夫も可能です。奥様への長年の感謝の気持ちを伝えるための、ちょっとした税の工夫をすることも愛情の一つです。

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