数ある土地活用の内、最もシンプルなのは駐車場でしょうか?そうは言ってもこの駐車場ちょっとした工夫で節税できたり課税だったり。建物との組み合わせによっても課税関係は様々です。そこで今回のテーマは、土地税制における車両保管業の経済効率と税効果。ナーニ、早い話、駐車場の節税策の話です。
1.アパートと駐車場
図イをご覧下さい。アパートに隣接して駐車場があるケース。もしこの駐車場がアパート居住者だけのものなら、相続税評価は土地全体が貸家建付地と言って、更地の7~8割にまで下がります。駐車場は基本的には更地評価。それがアパートと一体の評価なら儲けもの。空きが出たからと言って、外部の人に貸したら更地です。目先の利益を追うべからず。
2.固定資産税も一工夫
面白いのは固定資産税です。上記の場合、駐車場がアパート居住者だけで、しかも土地の筆が全体で一筆ならどうでしょう?一体利用となり敷地全体が小規模住宅用地の特例で1/6に。アパートと駐車場が別の筆なら原則駐車場は6倍です。こういう場合はとにかく合筆が得策です。合筆は絶対条件ではないものの、一体利用の説明は容易になります。注目すべきは、相続税の場合、筆は全く関係なく利用単位ごとに評価。これに対し固資税は原則的に筆ごとの評価です。さて、駐車場全20台の内、1台だけが外部の人間の場合は?お話合の世界で、交渉力と演技力と押しの強さで決まります。
3.整然とした駐車場の区分けでは
応用問題です。図ロのケースで、駐車場のAはアパート専用、Bは外部の場合です。フェンスでしっかり仕切があれば文句無し。相続税も固定資産税も有利な評価で節税が可能です。AとBを線引きの色で分けた程度、進入路も共用部分もある場合には問題です。過去の貸付状況、利用実態にもよりますが、できれば誤解の無いよう判然とした仕切がベストです。
4.駐車場ごと同族会社に賃貸したら?
話は変わって、駐車場ごと自分の同族会社に賃貸し、個人はその会社から地代だけを受け取る事は可能でしょうか? 仮に周辺の地代水準が固定資産税の3倍としましょう。同族会社は3倍の地代を支払うことにより、実質的には個人所有の駐車場収入を得られ、役員報酬を通じて所得の分散が謀れるのです。親の土地を子が適正な地代で借り、駐車場にしてみても、個人の所得税の世界では通用しません。土地所有者である親の収入になるだけです。個人間でなく法人を通せば済むのか、非常~に問題です。
5.管理型法人は否認、が時代の趨勢
上記の問題に対し、当局は否定的な見解です。これは何も駐車場だけの問題ではなく、いわゆる同族法人の管理会社形式(個人の建物を同族法人が管理の名目で収入を得、その管理料を個人の経費とする節税策)全般を昨今、当局は否認しているのです。いわゆる同族会社の行為計算の否認と言われるもので、当局の最も嫌う節税策だからです。
税務当局、形式だけでは駄目で実態、中身を重視です。とりわけ不労所得が嫌いで、逆に額に汗が大好きなのです。汗出さず、知恵を出すのも重要ですよネ!