土地は、原則として宅地、田、畑、山林などの地目ごとに評価し、評価方法には、路線価方式と倍率方式があります。
市街地などにある宅地は、道路ごとに定められた1㎡あたりの標準価額をもとに、位置や形状による加算・減算の補正を行う路線価方式によって評価します。原則は、その路線価に面積を乗じて算出しますが、奥行による補正を行った上で、①間口の狭い宅地→間口狭小補正率②奥行が長すぎる宅地→奥行長大補正率③不整形な宅地→不整形地補正率(最高40%の減額)等の適用があります。今回は、遺産分割にあたって土地評価を下げる方法を考えてみました。
(1)相続人A・Bが50%ずつ共有にした場合
450千円×0.98(奥行価格補正率)×600㎡=264,600千円…(イ)
普通住宅地区で奥行距離30m
∴奥行価格補正率0.98
(2)相続人A・Bが右記のように分割した場合
A.450千円×1.00(奥行価格補正率)×247.5㎡=111,375千円
普通住宅地区で奥行距離15m
∴奥行価格補正率1.00
B.450千円×0.98×0.85(不整形地補正率)×0.90(間口狭小補正率)×352.5㎡=118,921千円
かげ地割合247.5㎡÷600㎡≒0.41
普通住宅地区で面積352.5㎡ →地積区分A
∴不整形地補正率0.85
間口距離3.5mで間口狭小補正率0.90
A+B=230,296千円…(ロ)
(3)評価の引下げ額及び引下げ率
(イ)-(ロ)=34,304千円…(ハ) (ハ)÷(イ)≒13%
(4)相続税額(AとBの取得金額を21億円とした場合)
① 2,100,000千円×0.7(最高税率)-275,200千円=1,194,800千円
② {2,100,000千円-(ハ)}×0.7-275,200千円=1,170,787千円
③ ①-②=24,013千円
このように、合計すれば同じ面積でも、(2)の例では、Bの土地が、不動産的に評価が下がるため、分割の仕方ひとつで、かなり税額が減らせることになります。ただし、「過ぎたるはなお及ばざるが如し」!1)宅地面積から判断して、著しく細長い形状になる。2)路線と接することがない。3)宅地の形状が三角形など不自然で、かつ、合理性がない、等の「不合理分割」にあたる場合には、全体を1画地の宅地として評価してから、各所有者に評価額を面積按分することになるので注意が必要です。何事も、ほどほどに!?