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COLUMN

TOPATO通信今が旬、相続税調査 5100号

ATO通信

5100号

2000年9月29日

高木 康裕

今が旬、相続税調査

季節はすっかり秋色です。そう、秋は税務調査の最盛期。と言う訳で、今回は資産税、特に今が旬の相続税調査のお話です。


1.譲渡税から相続税

資産税について言えば、概ね7月一杯で譲渡税の調査が終わると、今度は相続税調査の開始です。今頃の季節になると、弊社も税務署から何件もの相続調査の連絡が入ります。不思議なもので、調査が何件も入る当たり年と、ほとんどお咎めのない年とがあるようです。残念ながら今年は大当たりで、予定を含めて既に数件、調査のオンパレードです。相続税は昨年の7月から今年の6月位までに申告をした方が、今この季節に調査を受ける対象となる方です。また、今年の3月に譲渡所得の確定申告をした方は、既に譲渡税の調査は終了です。つまり、今の時点で譲渡についてのお問い合わせが何も無い方は、無事、昨年分の申告内容が認められた事に。誠におめでとうございます。


2.時間が経てばバレない?

調査に選定される、典型的な例をご紹介しましょう。数年前、いや、10年前でも宜しいでしょう。多額の土地の売却収入があった、収用保償で億単位のお金が入金された。勿論その時点で適正な申告はしているはずです。問題はその時のお金が相続時にどんな形で残っているのか。 つまり、そのお金で土地を買った、国債に化けた、定期預金に預けた。それが財産として説明できる状態で相続税の申告書に記載されていればよいのです。が、往々にして申告漏れになるケースが多いのです。特に土地の売却時点等で無記名債などを買った場合に、まま見受けられるようで。時間が経てばバレない!そんな納税者意識が働くのでしょうか?結論から言えば、この手の方は、税務署の罠にマンマとはまったことになるのです。何故なら、税務署と言うところ、相続の申告書をチェックする際、過去の譲渡関係の申告は隈無く見直しです。そして、前述の財産形成に疑問があれば、つまり、少な過ぎると判断されれば調査に選定となる仕組みなのです。10年前でも油断は禁物。


3.相続税の落とし穴

他に、一般の方が陥りやすい相続税の落とし穴について、お話しましょう。まず、被相続人になる方がいよいよ危ない!そんな時、多くの方は葬式費用等に備え、ある程度まとまった金額を引き出します。銀行に死亡したことが解ると、分割協議が整うまでは預金が下ろせなくなるためです。それは良しとして、問題は引き出した後の残高しか計上しないことです。確かに預金残は無くても、それは現金として相続財産に計上すべき代物です。調査があれば、直前の引き出しは必須チェック項目と考えておきましょう。もう一つは、相続の始まる3年以内に行われた贈与です。贈与税の申告書が出ていれば税理士も気づきます。が、申告をしていなかったり、基礎控除の60万円以下の贈与の場合は、つい見逃しがちに。相続財産として計上すべきなのです。その上で、贈与税が納税されていれば相続税額から控除ができる仕組みです。いずれにしても、12月の上旬まで、相続税の調査はまだまだ続きます。譲渡税も相続税も基本的には年ごとに選定、実地の調査の繰り返しです。何年も前の申告を、忘れた頃に調査と言うことは通常はありません。 時間よ早く経ってくれ!そう言うあなたを、税務署は密かに狙っているのです。明日にでも、あなたに税務署から調査の電話が……弊社がお手伝いします!

※執筆時点の法令に基づいております