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今月の言葉

2018年6月1日

自転車レーン

十年ほど前、オランダのアムステルダムの町に泊まったときのこと。

 朝、ホテルから外に出てみると、都心の賑やかな通りの道端が、幅数十センチほど、鮮やかな色に塗り分けられているのを発見。その色のついたレーンを、多数の通勤自転車がすいすいと行くのを見て、初めてこれが自転車レーンというものだと、気がついた。

 その後、東京でも時々自転車レーンを見かけるようにはなったが、アムステルダムのように、どの車道にも自転車レーンが設けられているというのではなく、おや、こんなところに自転車レーンがある、という感じで、道によほどの余裕幅があるか、あるいは休日の運動用など、市民の健康のための自転車コースに限って設けられているようだ。

 と、思っていたところ、最近たとえば、環状八号線とか、世田谷通り、甲州街道の一部などに、ちゃんとした自転車レーンではなく、一番左の車線に白いペイントで何だかやっつけのように、忽然としかも小さく点々と自転車の絵が描いてあるのを、発見。

 自動車の運転をする立場からは、このマークが道に描かれていたからと言って、何をしたらよいのか分からず、つまり、元々自動車用の車線に自転車は走っているのだから、別に、あらためて自転車優先の意味でマークが描かれているわけでもなかろうし、まことに迷惑なことだと思いながら走っている。

 自転車はエコだ。自転車は健康によい。だが、正直に言えば、日本の都会の道で、自転車が走るくらい迷惑なことはない。そもそも、自転車が歩道を走れば、人間と自転車が錯綜して、人間が危ない。最近はお年寄りの歩行者を自転車がはねる事故も多い。だから道路交通法では、原則自転車は車道を走るべし、と言うことになっている。

 だが、例外的には、「安全のためやむを得ない場合」自転車が歩道を走ってもよいことになっていて、どういう場合が例外なのか、それがよく分からない。

 一方車道を自転車が走れば、速度が自動車と明らかに違うので、同じ車線を走ること自体が危険である。前記した環状八号線とかの幹線道路では、道端にトラックなどが停車していると、自転車はふらふらと真ん中の車線に出てきてしまう。それはそれで仕方がないことなのだが、車道の真ん中に出てきた自転車は、中央車線の左側を走るとは限らず、勝手自在に車線の好きな部分を選んでジグザグと走る。おそらく自転車の方もどれがルールに適った走り方か自分でよく分かっていないのではないか。

 結論として、都会の幹線道路では、荷物の積み卸しなどのための駐停車を全面禁止にすること、そして、そのことを前提に、三車線の道路の車線の幅を少しずつ詰めて、ちゃんとした自転車レーンを設け、半端な自転車マークはやめてほしい。