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TOP今月の言葉桜海老 2018年04月

今月の言葉

2018年4月1日

桜海老

 桜海老漁の漁期は、10-12月と、3-6月。桜海老の名所、静岡県由比の漁港では、3月21日が春の桜海老漁解禁日である。桜海老祭りは、毎年5月3日だとか。

 生きている桜海老は、透明で、甲の部分に、ピンク色がかかっている。ゆでると鮮やかな色に染まる。昼間は水深200-300mのところに沈んでいるが、夜になると水深20-50mくらいまでに浮上してくる。体長は約4cm。小柄なエビである。

 桜海老漁の歴史は、比較的浅い。1894年(明治27年)のこと、駿河国は由比の漁師が、鰺の網引き漁をしていたところ、網が海底の方に深く潜ってしまった。それで偶然海底から大量の桜海老が捕れたのが、漁の始まりだそうだ。日本では、主に駿河湾、相模湾、東京湾に生息しているが、由比と大井川の漁港に属する漁船100隻だけが桜海老の漁業権を持っている。したがって国内の漁で獲れる桜海老は、みんな駿河湾の桜海老である。

 桜海老は、生きたまま輸送するのが難しく、静岡県外では、なかなか生の桜海老を食べることができない。だいたいは、ゆでて釜揚げにするか、干して干し海老にするか、あるいは冷凍した加工食品として県外に出て行く。

 桜海老は、和食、洋食、中華にこだわらず広く食材として活用することが出来る。

 まず、和食について言えば、もっともポピュラーなのは、桜海老のかき揚げであろう。ふわっとした食感とかみしめたときの意外に濃厚な味わいが絶妙である。そのほかに、和食では、雑炊や炊き込みご飯の具材、わさび醤油でそのまま食べるなど、多種の食べ方がある。クックパッドを見ると、空豆や枝豆と桜海老の炊き込みご飯を推奨している人もいる。味付けは白だし汁がよいのだとか。変わったところでは、お好み焼きの具材としても美味しくいただける。さっぱりしたところでは、野菜のおひたしに添える脇役としての桜海老も無視できない。

 中華について言えば、なんと言っても桜海老の炒飯が、代表選手。炒飯のパートナーとしては、レタス、大根の葉、セロリ、高菜、ネギなど様々な工夫が可能である。そのほかに、桜海老の入った焼きそば類が各種ある。桜海老は、炒め物にも使えるので、いろいろな中華風炒め物の具材としても活躍できる。

 洋食としては、パスタがよろしい。この稿の筆者の得意料理として、春キャベツと桜海老のペペロンチーノというのがある。鎌倉に住んでいた時に工夫した、海辺の春の一品である。オリーブオイルと鷹の爪でいただく。 そのほか、桜海老と緑アスパラガスの炒め物など温野菜の添え物として、あるいは生野菜サラダの具材としても美味しくいただける。

 以上を要約するに、桜海老は、塩味の効いた良質のタンパク源として優秀であるが、いわゆる主役として過剰な自己主張はしない。いつも主食とともにある、控えめな名脇役ということが出来るのではないだろうか。