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え〜っと通信

50号

2005年8月15日

横山 幸雄

農地の贈与にご注意を

今回は、農地の贈与にまつわる怖~いお話です。


1.農地法

 ある税理士事務所でのお話です。確定申告の忙しい時期が終わり、書類の整理をしながらほっとしているところに、司法書士の先生が電話をなさったそうです。「贈与登記ができない土地があります。」えっ、なぜ?
 実は、贈与税の申告をしたものの贈与登記ができなかった事案の話なのです。理由を尋ねると、贈与契約をした土地の中に農地が含まれているからだと言うのです。早速調べてみました。

農地法第三条によると

1 農地を農地のまま他人に権利移動する場合には、農業委員会又は知事の許可を受けなければならない。
権利を取得しようとする者が取得後において耕作の事業に供すべき農地のすべてについて耕作の事業を行うと認められない場合は、上記1の許可は受けられない。

 すなわち、農地の贈与を受ける場合には、取得後耕作を行わなければ農業委員会等の許可を受けられず、その贈与契約は無効なのです。


2.相続税法

 それでは、相続税法ではどうなっているのでしょうか。相続税法基本通達では、農地の贈与による財産取得の時期について次のとおり規定されています。

相続税法基本通達(1の3・1の4共-10)

農地法第三条による許可を受けなければならない農地の贈与に係る取得の時期は、許可があった日後に贈与があったと認められる場合を除き、当該許可があった日によるものとする。

  すなわち、農地法と同様、許可がなければ贈与もないことになります。
 さあ大変です。贈与税の申告書を提出しています。納付済みの贈与税はどうなるのでしょうか。


3. 更正の請求

 最初に提出した申告書の税額より少なくなるような修正は、更正の請求書を提出して行います。提出期限は法定申告期限から一年以内です。従って、平成18年3月15日までに更正の請求書を提出し、贈与税の還付を受けることができます。


4.日々精進!

 以上のことを整理すると、民法上、農地の贈与契約は成立していますが、農地法により無効となるのです。相続税法は農地法に合わせて規定されているのです。追加の税負担がある訳ではないので、これらのことをお客様に説明すれば、ご了解を頂ける事柄ではあるでしょう。しかし、つくづく税理士というものは、税法だけではなく、いろいろな知識を求められるものだと、あらためて感じました。
 土地の地目にはくれぐれも注意したいものです。

※執筆時点の法令に基づいております