4月に固定資産税の納税通知書が届き8月には相続税の路線価が公表されました。どちらも土地の価格が付してありますが、不動産売買のチラシで見る売買価格とはかなり開きがあるようです。一体、土地の価格にはどんなものがあり、また税金を計算する場合はどうやって決まるのでしょうか?
土地の価格と一言でいってもその利用目的によって使い分けられています。大きく二つに分けられ、一つは「売ったらいくら・買ったらいくら」の流通価格で最も一般的な土地の価格、もう一つが税金を計算するための価格です。
1. 流通価格
通常の経済活動における流通価格は需要と供給の関係で決まります。物件ごとに個別的な要因が大きく影響し、実際に売買が成立しなければわからないというのが正直なところです。
土地の適正な価格の客観的な目安として、「地価公示価格」と「基準地価格」の2つがあります。
公示価格とは地価公示法に基づき国が標準地を選び、毎年1月1日現在の時価として公表する正常価格のことです。民間取引の指標とされ、公共収用の基準ともなっています。
基準地価格とは国土利用計画法施行令に基づき都道府県知事が毎年7月1日現在の宅地基準地について公表する標準価格のことで、公示価格の時点修正的な意義を持つものです。
たとえば、売却を考えている土地の付近にある標準地の公示価格や基準地の基準地価格に間口・奥行・地積・形状など個別的な要因を加味することにより、土地の売却価格決定の参考にすることもできます。
2.税金を計算するための土地価格
各種の税金を計算するための土地価格も税目によりいろいろあります。代表的なものは「相続税の路線価」と「固定資産税評価額」です。
相続税法上、財産の価額は「時価」によるものとされています。「時価」とは課税時期において財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額を言います。ところがこのような価額を理論的に算定するのは不可能なので、実務上の要請から一律に価額を計算する方法を財産評価基本通達に定めています。
路線価とは、相続税、贈与税の課税価額を計算するために国税庁が公表する土地の価額です。公示価格・基準地価格の公表は基準となる地点のポイントごとになされるのに対し、路線価の公表は路面ごとになされます。路線価はその名の通り道路に価額が付してあり、矢印によってここからここまではいくらと地図上に示してあります。相続税法上の土地の価額は財産評価基本通達に基づき路線価をもとに、奥行・間口・形状・地積などを考慮し計算します。路線価はその年の1月1日の価額で、一般に公示価格の80%程度と言われております。公示価格のポイントとなる公示地に選ばれていない場所では、路線価を80%で割り戻した金額を公示価格の代わりに流通価格の目安とすることも可能です。
一方、固定資産税評価額とは固定資産(土地、家屋等)に対し、固定資産評価基準に基づきその年の1月1日の価額として評価したもので、原則として3年ごとに評価替えが行われます。この固定資産税の評価額は、そのほか登録免許税・不動産取得税などの税金計算の元になる金額として使われています。
なお固定資産税評価額は公示価格の70%程度と言われています。
更にもうひとつ土地の税金として、譲渡益に課税される所得税・法人税・住民税があります。
この税金は土地の譲渡益に対して課税されるものですから、原則として譲渡価格から計算します。そうは言っても所得税・法人税では公示価格を売買する場合の時価と考えている節があります。従って親族間や関係会社等との売買にあたっては、公示価格とあまり隔離がある場合には色眼鏡で見られることもあり注意が必要です。
以上のように土地の価格はいろいろな基準があり、目的によって使い分けなくてはなりません。以下表にまとめますのでご参考にしてください。