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~最も有利な活用法~
58号

え〜っと通信

58号

2006年3月15日

菊池 真美

小規模宅地等についての課税価格の計算の特例
~最も有利な活用法~

 相続により土地を取得する場合、土地の評価を下げてくれる制度『小規模宅地等についての課税価格の計算の特例(以下「小規模宅地等の特例」といいます)』があります。この特例、実はその選択の方法によって、相続税額に大きな相違が生じることになるのです。甲さん、乙さん、2人の例でご説明します。


1.相続した土地

 甲さん、乙さん、それぞれの被相続人から[表1]の宅地を相続しました。


2. 甲さんの選択

 甲さんは、評価額が高い順に、B宅地>A宅地>C宅地の順に小規模宅地等の特例を選択しました。すると、その結果は[表2]のような評価額となりました。
■表2

宅地評価額減額される金額特例適用後の評価額
A8,700万円60万円×0.8×145㎡=6,960万円1,740万円
B9,450万円70万円×0.8×135㎡=7,560万円1,890万円
C6,400万円80万円×0.5× 15㎡=  600万円5,800万円
合計24,550万円15,120万円9,430万円


3. 乙さんの選択

 一方、乙さんは、1㎡当たりの単価が高い順に、C宅地>B宅地>A宅地の順に選択しました。その結果は[表3]のとおりです。
■表3

宅地評価額減額される金額特例適用後の評価額
A8,700万円 60万円×0.8× 15㎡=  720万円7,980万円
B9,450万円70万円×0.8×135㎡= 7,560万円1,890万円
C6,400万円80万円×0.5× 80㎡= 3,200万円3,200万円
合計24,550万円11,480万円13,070万円 


4. 甲さん有利です

 果たして特例適用後の評価額は、甲さんは9,430万円、乙さんは13,070万円となり、3,640万円の差が生じました。税率が50%の相続税がかかる相続人にとっては、選択方法の相違だけで、税額で何と1,820万円も違ってくるのです。小規模宅地等の特例は、限度面積と減額される割合が土地の利用状況によって異なっているため、選択方法の違いでこのような差が生じてしまうのです。


5. 一番有利な方法は?

 小規模宅地等の特例を適用できる土地が2つ以上あった場合、一番有利に選択するには、㎡単価、減額割合、面積調整を比較し、減額される金額の大きいものから選択していくのがベストです。
 一見簡単そうに見えるこの特例ですが、実は奥が深く結構複雑な計算が必要なのです。こんなところにも、やっぱり、プロの目、プロの手がお役に立つのではないでしょうか。

(参考)
1.限度面積と減額される割合

2.限度面積は400㎡
  限度面積は下記の算式より400㎡以下まで適用可能です。
    

※執筆時点の法令に基づいております