いよいよ始まるマイナンバー制度!!
~税務におけるマイナンバーの注意ポイント~
平成27年10月のとある日、”ピン・ポーン”と玄関のチャイムが鳴り簡易書留が届けられます。差出人をみるとお住まいの市区町村、封筒を開けると個人番号(マイナンバー)が記載された「通知カード」が入っています。いよいよマイナンバー制度の開始です。当面は、『社会保障・税・災害対策での行政事務』のみで使用されます。
今日は、税務における個人番号の取扱いで注意すべき点について春山税理士に質問するようです。
1.税務で活用される個人番号(マイナンバー)
マイナンバー制度、人間も番号で管理される時代になりましたね。番号は12桁もあると聞きました。全国の津々浦々で記入誤りによる混乱が発生しますよね。
本来の番号自体は11桁で、残りの1桁はチェックデジット(検査用数字)です。ソフト入力の際に記入誤りがチェックされる仕組みですからご安心ください。でも、Aさんの書類にBさんの番号を書いてしまうと大変なことになります。税理士事務所でも個人番号の取扱いには十分なチェックが必要になります。
税務署への提出書類に記入するのですか?
平成28年分の提出書類から個人番号の記入が必要になります。例えば、勤務先に提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」、税務署に提出する所得税、贈与税、相続税などの「申告書」です。また、勤務先から交付される「源泉徴収票」にも個人番号が記載されます。
税理士の方に申告書の作成をお願いする際に個人番号を提供する必要があるということですね。
利用目的、例えば、「確定申告書などの税務書類を作成するため」とお伝えします。初めてご依頼を受ける方については、運転免許証などで本人確認をさせていただいた上で個人番号の提供をお願いします。
2.「個人情報」と「特定個人情報」の違い
個人番号を提供する立場として、どのような点に注意が必要ですか?
税・社会保障・災害対策以外の場面で提供してはならないことです。例えば、銀行借入れをするとき、源泉徴収票や確定申告書の写しの提出を求められる場合があります。個人番号の記載があれば、復元できないようマスキングが必要です。銀行借入れは『社会保障・税・災害対策における行政事務』ではありません。現状において、銀行に個人番号を提供してはならないのです。
面倒ですね。自分の番号ですよ、自分自身が了解していればマスキングしなくてOKですよね。
住所・氏名などの「個人情報」はご自分が了解していれば提供は自由です。しかし、個人番号を含んだ個人情報を「特定個人情報」といい、その目的外での提供は法律違反となってしまいます。
3.家族の個人番号は誰が管理するのか
「給与所得者の扶養控除等申告書」や「所得税の確定申告書」には扶養親族の名前も記載します。私の息子や娘の個人番号も記入するのですか?
記入する必要がありますよね。
税理士事務所も大変ですね~。私の息子や娘にまで個人番号の提供依頼をすることになるのですね。
個人番号の提供依頼や収集には制限があるとお話しました。しかし、例外的に子や配偶者など同一世帯に属する方についてはこの制限が適用されません。お子様や奥様の個人番号は安夫さんが管理でき、ご自分で「給与所得者の扶養控除等申告書」へ記載することや、税理士事務所に提供することができるのです。
4.法人番号はオープン
ところで、10月には法人番号も通知されます。法人番号は、市区町村でなく国税庁から通知されます。法人登記簿の12桁の会社法人等番号の前に1桁のチェックデジットを加えた13桁の番号になります。
法人税の申告書に記入するのですね。
平成28年1月以後に開始する事業年度分の申告書や届出書類から記入が必要になります。
国税庁から通知されたということは、会社の法人税や消費税などの税務にのみ使用するのですか?
制限は全くありません。1)法人の名称、2)所在地、3)法人番号は、全てインターネットを通じて公表されます。行政の効率化が目的なのですが、法人番号には利用制限がないため、民間でも活用されて新たな価値が創出されることが期待されているようです。
法人番号はオープン!利用目的が制限される個人番号とは全く取扱いが異なるのは驚きですね・・・。
5.マイナンバー制度と税理士事務所
マイナンバー制度の実施までのカウントダウンが始まり、税理士事務所ではお客様からお預かりする個人番号の取扱いなどの安全管理措置の構築、税務顧問契約書の改訂などが急務となっています。
皆様の税務に関する業務について、数ある税理士事務所の中からどの事務所に依頼するかお悩みの方も多いと思われます。今後は、お客様の個人番号を含む特定個人情報に対する安全管理措置への取組み状況なども、税理士事務所選定における重要な項目としてチェックが必要といえるでしょう。